1990 Fiscal Year Annual Research Report
「日本的スポ-ツ」の生成・変容過程に関する社会学的研究
Project/Area Number |
02808021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
多々納 秀雄 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (00038499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 教人 九州大学, 健康科学センター, 助手 (50230579)
金崎 良三 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (70038496)
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Keywords | 日本的スポ-ツ / 武道 / 相撲 / 社会学 / 制度 / 技術 / ル-ル / 組織 |
Research Abstract |
我が国の現代スポ-ツの原点,原型の再検討、その基本的特性及び構造に関する社会学的究明を本研究は目的とするものであるが,研究の進捗状況は順調とはいえ,未だ研究初年度であるため,研究成果は十分と言えず,結果を集約し公表する段階には至っていないのが現状である。 研究初年度の今年は,スポ-ツの構造・機能に関する基本的パラダイムの構築の試み,及び武道関係の既存文献の収集・整理,更にスポ-ツの生成・変容過程の一部としての用具・施設,ル-ル,技術等の物的側面の変容過程の検討,等々を主に意図して研究を進めた。上記の通り,その緒についたばかりであり,分析結果をまとめる段階ではないが,主要な点は次の通りである。 1.スポ-ツの基本的パラダイムに関しては,既存のスポ-ツ論で主張されている主体的主意主義と規範的制度主義の相方を如何に相即化するかが焦点であり,それには社会学のハビタス論(ブルデュ-)及び構造化理論(ギデンズ)等の有効性が示唆された。 2、従来の日本的スポ-ツの研究は,歴史学的視点からの制度史・人物史が中心であったが,例えば,その制度化をコンフリクトと捉えたり,人物史をキャリア・パタ-ンとして認識すること等々,社会学的視点から新たな変容過程の把握の可能性と必要性が確認されたため,次年度以降この視点・方向性に立脚し分析を進めていきたい。 3.日本的スポ-ツの変容・発展過程は従来「競技化」「合理化」「世俗化」等と捉えられてきたが,それらの過程は種目毎にかなり多様であり,例えば,柔術から柔道への変容は必ずしも競技化過程でなく,また相撲の制度化過程は儀式化・脱世俗化の過程と認識されること等々,従来指摘されていない多くの問題点が確認された。 次年度以降さらに検討を重ね,新たなスポ-ツ論を確立したい。
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