1991 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト・アラブ共和国アブシ-ル地区におけるピラミッドおよび周辺遺跡の調査
Project/Area Number |
03041079
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (80201052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登内 正治 川崎地質株式会社, 開発部, 部長
近藤 二郎 共立女子大学, 文芸学部, 非常勤講師
張替 いづみ 早稲田大学, 文学部, 助手 (70221512)
西本 真一 日本学術振興会, 特別研究員 (10198517)
高橋 龍三郎 近畿大学, 文芸学部, 講師
谷本 親伯 京都大学, 工学部, 助教授 (10109027)
森 啓 東北大学, 理学部, 教授 (00004466)
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
菊池 徹夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (00147943)
桜井 清彦 早稲田大学, 文学部, 教授 (60063195)
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Keywords | エジプト / アブシ-ル / サッカラ / ピラミッド / カエムワセト / ロ-マ時代 / ラメセス2世 / 石造建造物 |
Research Abstract |
1991年2月上旬から1992年1月中旬にかけて、アブシ-ルのピラミッド群の南方約1.5kmに位置する丘稜頂部において発掘調査を行い、それとほぼ平行して周辺のピラミッドの観察調査を実施した。 発掘調査を行った丘稜頂部には、多数の石灰岩ブロックが散布していたが、1970年代に一種の軍事基地として使用されていたこともあり、遺構の存在の有無や年代は確認されておらず、保存のための調査を急務とする遺跡であった。今回の発掘調査の目的は、主に王朝時代の遺構の存在を確認することであった。発掘調査は、上記丘稜頂部に10mのグリッドを組んで遺物の表面採集を行った後、東側に東西約30m、南北3mのトレンチを設定して、発掘調査を行った。 発掘調査の結果、丘稜頂部東側から、石灰岩ブロックをモルタルで接着して築かれた床面およびナイル河の沖積土を貼って造られた床面等の遺構が検出され、遺構の存在が確認された。石灰岩ブロックを用いて築かれた床面は王朝時代の建造物の一部であることは確実であるが、今回の調査の範囲が限られていたため、正確な年代は明らかではない。ナイル河の沖積土を用いて造られた床面は、ロ-マ時代に造代付けられると思われる。発掘地区からは、レリ-フの刻まれた大小様々な石灰岩ブロックや大型の花崗岩石材が検出された他、土器片やファイアンス製のアミュレット、木材、ランプなどが出土した。レリ-フのいくつかに第19王朝ラメセス2世の王子カエムワセトの名が刻まれていることから、丘稜上にこの人物に関連する建造物が存在した可能性が高くなった。 ピラミッドの観察調査は、この丘稜に近いアブシ-ルとサッカラにおいて実施され、観察記録、測量記録および写真記録が行われた。
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[Publications] 吉村 作治,桜井 清彦,菊池 徹夫,中川 武: "アブシ-ル遺跡丘陵頂部の発掘調査(1)" オリエント. 36. (1993)
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[Publications] 吉村 作治,桜井 清彦,菊池 徹夫,中川 武: "アブシ-ル遺跡発掘調査概報" 早稲田大学古代エジプト調査室, 150 (1993)
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[Publications] Sakuji Yoshimura,Takeshi Nakagawa: "Preliminary Report of the Excavation on the top of the hill at North Saqqara" Egyptian Culture Center,Waseda University, 150 (1993)