1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03044075
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
岩田 勝哉 和歌山大学, 教育学部, 教授 (10031816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 武 上海水産大学, 養殖系, 副教授
揚 和〓 上海水産大学, 養殖系, 副教授
施 正峰 上海水産大学, 養殖系, 副教授
朱 学宝 上海水産大学, 養殖系, 副教授
譚 玉釣 上海水産大学, 養殖系, 教授
原田 泰志 東京水産大学, 水産資源管理学科, 助手 (50228657)
前田 広人 滋賀県琵琶湖研究所, 主任研究員 (80238873)
高村 典子 国立環境研究所, 主任研究員 (80132843)
和田 英太郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40013578)
三浦 泰蔵 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (20025274)
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Keywords | 中国綜合養魚 / ソウギョの糞の分解 / コイ科の消化機能 / δ^<15>N / ピコプランクトン / バクテリヤフロ-ラ / デトリタス / 付着細菌 |
Research Abstract |
平成3年度は養魚池内の食物連鎖網の定性的な解明を重点に調査を行い、以下のような結果を得た。 (1)夏期における池中の魚の筋肉の同位体分別比を測定すると、ソウギョ、ブショウギョおよびフナのδ^<15>Nは水草の値にはほぼ等しく、ハクレン、コクレンのδ^<15>Nは前3者よりも約5パ-ミル高い値となった。この結果より、本調査開始時の予測どうりフナはソウギョの糞由来の物質(デトリタス)を主要な餌としていることが明かとなったが、コクレンとハクレンは予想に反して、フナよりも糞への依存度が低い結果となった。ただし、平成3年度は大湖周辺の洪水により十分な水草が投与されなかった可能性があるので、この測定は来年度も引き続き行い最終的な結論を出す必要がある。(2)ソウギョの糞を ^<15>NーNH_4とともに実験室内で分解させ、分解に伴う水草砕片の ^<15>Nの取り込みを調べたところ、 ^<15>Nは主として2マイクロン以下の細菌分画にもっとも多く取り込まれることが判明した。(3) ^3Hーチミジンを用いて池中の細菌の生産量を測定すると、細菌の生産量は他の水系と比較して著しく高く、その大部分は付着細菌に由来することがわかった。また、ピコプランクトンの生産量も著しく高かった。今後、これらの要素から他要素への移動速度を求めることが非常に重要な課題となる。(4)養魚池環境中のバクテリアフロ-ラと池中のコイ科魚類の腸管のそれとを比較すると、腸管のフロ-ラは摂取する食物に依存して変化し、環境と腸管のフロ-ラの間には本質的な違いがないことがわかった。これは有胃魚の結果と著しく相違する。(5)今まで、コイ科のような無胃魚の消化機能は有胃魚に比べて原始的で劣っていると言われてきたが、上記の結果より、ハクレン、コクレンなどの消化管は環境の細菌を消化管内で繁殖させ、デトリタスなどを効率よく消化する為に特化したものである可能性が高くなってきた。
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