1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03044097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 淳 大阪大学, 医学部, 教授 (90028598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 仁 兵庫医科大学, 助手 (40104236)
澤井 元 大阪大学, 医学部, 助手 (20202103)
山下 勝幸 大阪大学, 医学部, 助手 (20183121)
渡部 真三 愛知県コロニー発達障害研究所, 主任 研究員 (10093486)
田内 雅規 国立リハビリテーションセンター研究所, 主任 研究員 (00075425)
A Ishida カルフォルニア大学 デービス校, 動物生理学, 助教授
G M Bray マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
M Rasminsky マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
A J Aguayo マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
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Keywords | 視神経 / 軸索再生 / 神経移植 / 網膜-上丘路 / 細胞外マトリクス / 網膜神経節細胞 / 視覚伝導路 / 機能回復 |
Research Abstract |
1)渡部、澤井、福田は平成3年度の研究によって証明したネコ視神経切断後の坐骨神経移植による再生能力をY、X、W細胞の3者で定量的に比較し、大型細胞であるY細胞が最も再生しやすいことを明らかにし、その研究成果を国際誌に発表した(J.Neurosci,1993,in press)。また今年度来日したラスミンスキー教授と共同で軸索再生線維からの102個の単一ユニット活動の記録に成功し、それらの光受容野が正常と同じ程度の反応を示すものが多く、Y、X、W細胞への分類が可能であった。2)田内と福田が行なった細胞外マトリックス糖蛋白質のひとつであるラミニンの局所投与による視神経再生の促進効果の研究はより例数を増した結果、手術後2-4週では効果がなく、6週-10週で明らかに約40%強の軸索再生細胞数の増強効果があることが判明し、その結果を論文に作成しNeuroreport誌に投稿した。3)澤井と福田が行なった上丘腕切断後坐骨神経の架橋移植を行なったハムスターでは、眼球内に標識物質を入れて順行性線維の再支配様式を詳しく検討した結果、明らかに視神経線維が移植片のなかを通って再生し、それらの終末を上丘の視覚層に終止していることを形態学的に証明することが出来た。ただ光反応が回復するにもかかわらず、再生視神経線維が移植片を通らずに上丘を再支配している例に遭遇し、あらたに移植片を上丘腕切断部に挿入するだけの手術を行なった場合にも視神経線維が再生し上丘視覚層に終止する像が得られた。この事実は坐骨神経移植片自体から神経再生を促進させる因子が分泌されていることを強く示唆する。これらの研究成果は現在論文に取り纒め中である。4)福田と佐々木は、昨年度と同様、坐骨神経移植によって網膜-上丘伝導路を再形成したハムスターで光を手掛かりとした逃避条件づけ学習が可能かどうかを調べた。その結果、5匹の移植動物のうち3匹で明らかな逃避条件行動の学習曲線の上昇傾向がみられ、その成果は現在印刷中である(Vision Res.,1993,in press)。5)イシダ助教授と山下、田端(研究協力者)らは共同で成熟ラット網膜神経節細胞からのパッチクランプ記録に成功した。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] TABATA,T: "Dendritic regrowth of retinal ganglion cells in adult rats." Neuroreport. 3. 709-712 (1992)
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[Publications] SASAKI,H.: "Light and dark discrimination after sciatic nerve transplantation to the sectioned optic nerve in adult hamsters." Vision Research.
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[Publications] WATANABE,M.: "Number,distribution and morphology of retinal ganglion cells that regenerate axon into peripheral nerve graft in adult cats." Journal of Neuroscience.
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[Publications] FUKUDA,Y.: "Restoration of retinocollicular pathway by peripheral nerve transplant." Neurosciences.
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[Publications] SASAKI,H.: "Early and late flash-induced responses correspond to on and off receptive field components in hamster superior colliculus." Progress in Brain Research.
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[Publications] SASAKI,H.: "Behavioral recovery of vision in optic nerve sectioned and sciatic nerve grafted hamsters." Vision Research.
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[Publications] SAWAI,H.: "Restration of retinocollicular projections by intracranial peripheral nerve graft in the brachium-sectioned hamsters."
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[Publications] TAUCHI,M.: "Morphological characteristics of retinal ganglion cells survived long after axotomy in adult rats."
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[Publications] TAUCHI,M.: "Morphological changes of retinal ganglion cell dendrites during axonal regeneration by the peripheral nerve graft in adult rats."
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[Publications] 福田 淳: "視覚移植と視覚伝導路の機能修復." Clinical Neuroscience. 10. 35-45 (1992)
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[Publications] 福田 淳: "脳障害と機能回復-神経移植の有効性と問題点." Cell Science. 8. 539-546 (1992)
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[Publications] 福田 淳: "神経移植による脳機能修復-視覚伝導路損傷からの神経生理学的・学動学的機能回復." 医学のあゆみ. 162. 151 (1992)
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[Publications] 福田 淳: "機能からみた解剖・生理-視る(生理学的)." Brain Nursing. 9. 86-91 (1993)
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[Publications] 杉岡 美保: "視神経線維の機能分化と変性再生の過程." 神経眼科.
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[Publications] 福田 淳: "末梢神経移植による網膜-上丘路の再構築." 日本眼科紀要.
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[Publications] 田瑞 俊英,福田 淳: "医学・生物学におけるフラクタクル(松下 貢編著) F網膜神経節細胞樹状突起のフラクタクル構造-神経形態学におけるフラクタクルの展開." 朝倉書店, 82-96 (1992)