1991 Fiscal Year Annual Research Report
植物の紫外線防御機構としてのフラボノイド生合成の分子機構
Project/Area Number |
03045031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋本 徹 神戸大学, 理学部, 教授 (60087616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAHLBROCK Kl Albert―Ludwigs大学, Biologie Institute II, 教授
SCHAFER Eber Albert―Ludwigs大学, Biologie Institute II, 教授
MOHR Hans , 教授
七條 千津子 神戸大学, 理学部, 教務職員 (70226132)
鶴見 誠二 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80144608)
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Keywords | チミン二量体 / ホウキモロコシ / コイル形成 / 異状成長 / 光回復 / UVーB / UVーA |
Research Abstract |
本研究の計画時には、単離細胞核を用いたin vitroのDNA転写実験がフライブルグ大で成功したと伝えられたが、実際はそうではないことが判明したため計画を変更し次の実験を行った。 UVーB光効果の一つとして植物の成長阻害があるが、その一例として橋本ら(1984)はホウキモロコシ暗黒芽生えが片側からの照射により第一節間がコイルを形成することを報告していた。本実験では鶴見、橋本、Wellmannは、この現象とUVーBによるチミン二量体形成との因果関係を調べ次の結果を得た。 暗黒で育てたホウキモロコシ芽生えにUVーB照射を行うと、DNAの中にチミン二量体が形成され、コイル形成に関与する第一節間成長帶5mm切片当りの二量体の量が4×10^<-14>モル、即ち2×10^<10>分子以上に達するとコイル形成が起る。このいき値以上のチミン二量体形成に伴い、照射側の表皮に縦方向に走る線状の細胞壊疽が起り表皮の亀裂が生じる。この亀裂からの水の蒸発により細胞の膨圧が低下し、伸長成長の低下がもたらされる。UVーB照射後UVーA(360nmを中心肢長とする光源)を照射するとチミン二量体は元の単体に復帰し(光回復)、コイル形成は起きなかった。またUVーB照射後苗を高温度に保ったところコイル形成を見なかった。これらの実験結果は上述のコイル形成の仕組が正しいことを裏付けている。 来年度は、互に作用スペクトルの異なるフラボノイド形成とイソフラボノイド形成に関与するDNAの転写をcDNA釣り上げ法(ノ-ザンハイブリダイゼ-ション)によって調べ、チミン二量体形成との関連の有無を追求する予定である。
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