1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03301005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
子安 宣邦 大阪大学, 文学部, 教授 (80011295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 正 長崎大学, 教養部, 助教授 (80128181)
田尻 祐一郎 東海大学, 文学部, 助教授 (80171700)
高橋 文博 岡本大学, 教養部, 教授 (70116474)
小島 康敬 国際基督教大学, 文学部, 準教授 (70101590)
黒住 真 東京理科大学, 工教養部, 助教授 (00153411)
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Keywords | 垂加神道 / 心は神明の舎 / 心の言説 / 神の言説 / 儒家心性論 / 臆説 / 復古神道 / 石門心学 |
Research Abstract |
近世の神道思想は、近世思想と同様な多様な展開をみせる。ということは神道思想が近世思想の一つの分枝あるいは一つの契機ということではなく、儒教、心学そして国学という近世思想の展開が、同時に神道思想の展開でもあるということである。儒家神道の展開は、近世の大きな特色であり、さらに石門心学は神道を有力な契機として包み込み、もとより国学は復古神道として展開される。この近世神道をめぐる事態こそわれわれの総合研究を不可欠としていた。 近世神道をめぐるわれわれのアプローチは、そうした多様な展開によって、なお不変な神道的実体を把握しようとすることではない。あるいは「神道・着せ換え人形」説にみるような、さまざまな衣裳を換えて現出する神道に、その特質を見ようとすることでもない。むしろ新たな言語的、概念的衣裳をもっていいだされることによって、たとえば儒家神道はどのような特質をもった言説として展開されたかを見ることにあった。儒家神道にかかわっていえば、山崎闇斎系の朱子学が垂加神道として展開されたことに近世神道の大きな特色があり、同時にそこに近世神道の問題群もある。この垂加神道は儒家による宗教的教説であると見るとき、この教説へのアプローチに、「鬼神論」的視角がきわめて有効であることが明らかにされた。その視角をもって見ることによて、垂加神道を儒教から神道への転向としてではなく、儒家による宗教的言設一般のうちにおいて検討が可能になるのである。また儒家神道の言説としては、儒家心性論と「心は神明の舎」との関連が注目された。「心に神やどる」という教えは近世を通じて深く浸透し、心学的教説としても展開されていく。それは近世の「心の言説」として包括することもできる。ところでこの心や神をめぐる言悦の〈臆説〉のラベルを付したのは宣長の国学であった。ここから上古の神典による新たな「神の言説」が展開されることになった。そして幕末の多様な神道的言説へとそれは接続する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 前田 勉: "闇斎学派の『孫子』注釈" 日本文化論叢. 1. (1993)
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[Publications] 黒住 真: "文明論からみた東アジア新儒教" 梅園学会報. 17. 24-29 (1991)
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[Publications] 本郷 隆盛: "萩生徂徠の思想構成" 日本思想史学. 24. (1992)
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[Publications] 高橋 文博: "安井真祐の仏教批判" 日本思想史学. 23. (1991)
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[Publications] 子安 宣邦: "鬼神論" 福武書店, 209 (1992)
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[Publications] 桂島 宣弘: "幕末民衆思想の研究" 320 (1992)