1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03301047
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
桜井 万里子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90011329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 篤子 法政大学, 文学部, 助教授 (20195928)
島田 誠 東洋大学, 文学部, 講師 (90192608)
毛利 晶 静岡大学, 教養部, 助教授 (60174330)
古山 正人 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20181472)
山川 廣司 北海道教育大学, 釧路分校, 教授 (30113682)
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Keywords | 西洋古代 / 習俗 / 社会意識 / 家族 / 女性 / 宗教 / 異文化接触 / 文化変容 |
Research Abstract |
1.「家族と社会生活」という柱に関しては、本年度は主に家族の面での研究史の整理が進められた。欧米では1970年代以降、西洋古代の家族に関する研究がとみに盛んになっている。それはケンブリッジ・グル-プやアナ-ル派の研究により、従来の「時代を遡るにつれ家族形態は大きくなる」という進化論的家族変遷モデルが否定され、西洋中世初期におていも「核家族」が主流を占めていたことが明らかになったことに触発されてのことであり、ギリシアについてもロ-マについても、個別具体例の考証を通して、主として法制史的に構築されてきた通説と、実態との齟齬を指摘する輩出している。我々としては、それらを踏まえた上で各人の個別研究を進め、そこから西洋古代における家族形態の変遷を吟味し直し、同時に、「家」の構造や「家」の構成員相互の関係、さらには「家」と「家」とのつながりについて得られた新たな知見から、いかなる社会、そして政治の実態が浮かび上がってくるかを、パトロネ-ジ論も視野に入れつつ考察する必要があろう。 2.「宗教生活」については、ギリシア・ロ-マの宗教でも特に民衆の日常生活に深く関わっている側面(葬儀や「四辻を守護する神々」の祭儀等)を通して伝統的習俗・宗教と政治との関わりの検証を進めている。 3.「異文化接触・文化変容」の問題については、中心文化と周縁文化の相互影響、支配文化への同化の問題:強制か自発的受容か、といった観点から具体例についての検証を進めると同時に、ロ-マ帝国のキリスト教化の問題もこの観点から、即ち、従来のような古典的異教世界とキリスト教の衝突・抗争と後者の勝利という二項対立的な捉え方ではなく、両者の相互影響と自己変容という観点から捉え直し、実態の検証に努めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 山川 廣司: "ミュケ-ナイ時代の家と社会(その1)" 北海道教育大学紀要(社会科学篇). 42. (1992)
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[Publications] 桜井 万里子: "「反寡頭派戦争」の帰結とアテナイ社会" 西洋古典学研究. XL. (1992)
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[Publications] 古山 正人: "Which was Reality in Classical Sparta,the Regime of Homoioi or Patronage?" Bulletin of the University of ElectroーCommunications. 4ー2. 257-266 (1991)
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[Publications] 小林 雅夫: "古代ロ-マの人口問題" 科学史研究. 182. (1992)
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[Publications] 島 創平: "ロ-マの奴隷制とキリスト教ーコロサイ書3章22節〜4章1節の歴史的背景ー" 東洋英和女学院短期大学研究紀要. 30. 21-29 (1992)
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[Publications] 後藤 篤子: "ロ-マ帝国の「キリスト教化」をめぐってーロ-マン=アフリカの場合ー" 法政史学. 44. 19-39 (1992)
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[Publications] 大戸 千之: "ヘレニズムとオリエント" ミネルヴァ書房, (1992)