1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03301047
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
桜井 万里子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90011329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 篤子 法政大学, 文学部, 助教授 (20195928)
島田 誠 東洋大学, 文学部, 講師 (90192608)
毛利 晶 静岡大学, 教養部, 助教授 (60174330)
古山 正人 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20181472)
山川 広司 北海道教育大学, 教育学部釧路分校, 教授 (30113682)
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Keywords | 西洋古代 / 家族 / 社会生活 / 女性 / 習俗 / 宗教 / 異文化接触 / 文化変容 |
Research Abstract |
今年度も昨年度と同様に、「家族と社会生活」、「宗教生活」、「異文化接触・文化変容」という3本の柱を立てて研究は続行された。まず、昨年度の研究実績を踏まえつつ、個別具体例の検証をそれぞれが遂行し、全体研究会においては、その成果を持ち寄って、相互に比較検討し意見交換することにより、研究の現状分析と問題把握を行った。さらに、今後の研究への展望を確認することで、本総合研究は終了した。 各研究分担者がそれぞれの専門領域において個別に研究を深めて得られた研究成果は、研究報告書に掲載されているが、総合的成果としては、一言で西代古代と呼んでも、その社会は地域により時代により極めて多様であった点を、具体的に明示することができた。その結果、古代ギリシアと共和政期ローマとを類似の理論的枠組みの中に提えつつ西洋古代史の再構成をはかることが、果たして有効であるのか、問い直さねばならないとの認識を得ることができた。古代ギリシアと古代ローマとは、同じインド・ヨーロッパ語系の民族が形成した社会として理解されているが、その前提の上に立ち、両社会が少なくともローマ帝国成立以前については類似の発展を遂げたと想定することが、妥当であるのか否か。昨年刊行された『古典古代とパトロネジ』(長谷川博隆編、名古屋大学出版会)では、ギリシアとローマの類似よりも相違のほうが、むしろ鮮明になった。 西洋古代史研究について言うならば、19世紀の学の伝統を継承して進められてきた今世紀の知の営みは、今ここに到って、独自の学を打ち立てるべき時期に差しかかっている。西洋古代史再構成のための新たなる理論構築に向けて、本総合研究の成果を出発点として、今後さらに研究を進めなければならない。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 高畠 純夫: "アンティフォン弁論集" 富山医科薬科大学一般教育研究紀要. 14. 1-68 (1992)
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[Publications] 古山 正人: "スパルタにおけるパトロネジ論の有効性" 長谷川博隆編『古典古代とパトロネジ』(名古屋大学出版会)所収. 67-96 (1992)
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[Publications] 篠崎 三男: "ヘラクレイア=ポンティケのマリアンデュノイ(上)" 東海大学紀要文学部. 57. 47-66 (1992)
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[Publications] 島田 誠: "元首政期のパトロキニウム" 長谷川博隆編『古典古代とパトロネジ』所収. 219-236 (1992)
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[Publications] 小林 雅夫: "ローマ社会の医師" 早稲田大学大学院文学研究科紀要. 38. (1992)
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[Publications] 島田 誠: "ローマ都市におけるパトロネジとエウェルジェティズム" 東洋大学教養課程紀要. (1993)
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[Publications] 桜井 万里子: "古代ギリシアの女たちーアテナイの現実と夢ー" 中央公論社(中公新書), 252 (1992)
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[Publications] 大戸 干之: "ヘレニズムとオリエントー歴史のなかの文化変容ー" ミネルヴィ書房, (1993)