1991 Fiscal Year Annual Research Report
欧米史上における国家的集権化とRegionalismの分析
Project/Area Number |
03301048
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長田 豊臣 立命館大学, 文学部, 教授 (00066664)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬原 義生 立命舘大学, 文学部, 教授 (30066534)
谷口 健治 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (00227216)
井上 雅夫 同志社大学, 文学部, 助教授 (50097854)
浅香 正 同志社大学, 文学部, 教授 (70066059)
大戸 千之 立命舘大学, 文学部, 教授 (30066708)
|
Keywords | ステッツ・メイキング / 国家論 / 国家形態 / 権力と支配 / 支配と民衆 / 主権と国民 / 法と秩序 |
Research Abstract |
本年度は各自の専門とする領域で、それぞれの国家形態とその特質についての基礎研究を行った。その際研究対象領域を時代別に(1)古代ー中世、(2)絶対主義ーブルジョア革命、(3)産業革命、工業化課程、(4)現代国家の四班に分けて、それぞれの時代領域での国家研究の問題点の整理を行った。古代中世班では、従来のロ-マ皇帝や中央政府を中心とした研究から一歩踏み出して、帝国と諸属州との支配、もしくは権力構造に焦点があてられた。また中世における国家の問題は、中世都市の権力構造と周辺部農村地域との人的交流及び支配関係が主要な研究テ-マとなった。またブルジョア革命の研究では、フランスやドイツにおける国家形成については、すでにかなりの研究が行われているため、これまでStatelessnessが特色とされるイギリス・アメリカ合衆国におけるStateーmaking processが研究対象に選ばれた。研究はフランス・ドイツのいわば古典的ともいえる国家形成の過程と国家統治機構の弱体さがいわれるアメリカ合衆国において、国家の機能にどのような相違がみられるのか。もし相違があるとしたら、それはなぜか。どう説明できるのかといった問題が比較史的観点から追求された。現代国家論は、おりしも東欧・ソビエトにおいて国家解体が進行していったこともあって、これらの地区の国家と所謂先進国家の国家とはどう違うのかという点が問題とされた。先進資本主義国家においてもヨ-ロッパ統合に動きにみられるようにボ-ダ-レス減少が進行しつつある。国家の解体は体制の問題か、それとも体制を越えた現象として理解すべきなのか。ともかく国家の問題は、まさしくCulting edgeな問題となりつつあることに全員が同意した。
|
-
[Publications] 望田 幸男: "世紀転換期ドイツの大学教授の社会的プロフィ-ル" 文化学年報. 41. (1992)
-
[Publications] 瀬原 義生: "中部ドイツにおける中世都市の生体過程(下)" 立命舘大学. 526. (1992)
-
[Publications] 長田 豊臣共著: "アメリカ史(第1巻)" 山川出版, 450
-
[Publications] 望田 幸男,末川 清也共著: "新しい史学概論" 松籟社, 214 (1991)
-
[Publications] 池本 幸三編: "近代世界における労力と移住の概観ー歴史と現論の対話" 阿吽社, (1992)
-
[Publications] 望田 幸男共編: "ドイツ近現代史" ミネルバ, (1992)
-
[Publications] 大戸 千之: "ヘレニズムとオリエント世界" ミネルバ, (1992)
-
[Publications] 末川 清,若原 憲和 訳;C.ミユテン,H.A.ヴインクラ-: "ドイツ史の転換点1848ー1990" 晃洋書房, (1992)