1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03301066
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
須永 醇 法政大学, 法学部, 教授 (70061059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 恭子 帝京大学, 文学部, 助教授 (50214086)
菱木 昭八朗 専修大学, 法学部, 教授 (30083546)
前田 泰 徳島大学, 總合科学部, 助教授 (40209391)
小林 秀文 中京大学, 法学部, 教授 (20121395)
小林 一俊 亜細亜大学, 法学部, 教授 (20050205)
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Keywords | 無能力制度 / 禁治産者 / 準禁治産者 / 意思能力 / 行為能力 / 後見・保佐 / 持続的代理権 / 成年者世話法 |
Research Abstract |
精神的・身体的に障害があるため保護を要する人に関する法制度は全世界的に激動期にあり、その將来あるべき姿を模索することは現下の緊急な法的課題となっている。本研究は平成3年度において比較法の観点からこの問題にアプロ-チした。 1、無能力制度が十分に発展していない英米法系の諸国では、私的自治的・任意代理的側面から上記の問題に対応しようとして、持続的代理権(enduring power of attorney)制度を整備したが、フランス・オ-ストリア・ドイツ等の大陸法諸国およびスウェ-デンにおいては宣告無能力制度の改正によって上記の問題に対応しようとした。そうして、日本法にとってはヨ-ロッパ大陸・北欧の法制度の方が示唆的である。 2、ヨ-ロッパ大陸、北欧の法制度の中でも、被保護成年者に類型を設けつつこれを弾力化する方向(司法的保護・後見・保在の類型を残しているフランス法の類型的弾力化)と、被保護成年者の類型化をやめて個別具体的な法的対応を指向するもの(オ-ストリア、スウェ-デン、ドイツ法による一元的弾力化)と、2つの立法モデルが提示されている。フランス法を母法とする日本の無能力制度を解釈論を通して補正しようとするならフランス法が参考になるが、より抜本的に一元的弾力化の方向での立法的措置が検討されて然るべきもの、と思われる。 3、被保護成年者保護の方法としてその能力を剥奪・もしくは制限することには慎重であるべきである。上記諸立法のいずれもが能力制限を受けない被保護成年者類型を設けていることは極めて示唆的である。 4、その他、これまで日本で全く研究もされず紹介もされたことのないラテン・アメリカ法の被保護成年者制度、ロシア連邦等の旧ソ連邦構成諸国家および東欧法上での被保護成年者制度にもアプロ-チして、相応の研究成果を得つつある。
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Research Products
(1 results)