1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03301066
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Research Institution | HOSEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
須永 醇 法政大学, 法学部, 教授 (70061059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 一夫 九州国際大学, 法経学部, 学部長 (80140820)
菱本 昭八朗 専修大学, 法学部, 教授 (30083546)
新井 誠 国学院大学, 法学部, 教授 (40146741)
小林 秀文 中京大学, 法学部, 教授 (20121395)
小林 一俊 亜細亜大学, 法学部, 教授 (20050205)
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Keywords | 無能力者 / 意思能力 / 行為能力 / 責任能力 / 禁冶産 / 準禁治産 / 後見 / 保佐 |
Research Abstract |
平成3年度中に実施した比較法的研究に引き続き、平成4年度においては、無能力者制度と関係の深い現下の重要問題の研究を行ない、その結果、現行制度の改正が焦眉の急務であることが明らかになった。特に、 (1)精神的に欠陥ある者だけでなく、身体的に欠陥ある者についても法律上の特別の保護が必要とされること。 (2)保護を要する成年者の状況は、その精神的・身体的状況、家族関係、その有する財産の構成等の諸点で千差万別であり、それぞれの被保護成年者の実状に適合する保護制度が用意されるべきであること。 (3)本人の能力の剥奪もしくは制限は、かえって本人を社会的に隔離する結果をもたらすことが少なくないので、必要最少限の範囲に止められるべきであること(必要性、補充性の原則)。とりわけ、現在の実定法上、民法で無能力とされたため各種職学上欠格とされることが少なくないなどの弊害も生じてきていることに注意しなければならない。 (4)現行制度は基本的には本人・家族からの申立がなければ発動できない仕組みになっているが、これでは本人の保護に欠ける嫌いを免れず、諸外国の制度に比しての日本法の最大の欠陥の一つとなっているので早急の改正が望まれること。 (5)やむなく「無能力」とされた者でも、現実には100%能力を失っているわけではないから、必要品契約の締結を認めるなど、その自己決定権が極力尊重されるべく、また、そうすることが、本人の能力の回復につながるのであろうこと。 (6)英米法上の持続的代理権制度(EPA)や、英米法由来の信託の制度などの積極的活用が意図されるべきであること。その他、金融取引等においても、被保護成年者の利益と金融取引の利便との接点で新な対応の望まれる点が少なくない、などの諸点が明らかになった。
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