1991 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラDNAを指標とした植物分子系統分類学の展開
Project/Area Number |
03304007
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 建美 金沢大学, 理学部, 教授 (90021203)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徹 京都産業大学, 国土利用研究所, 講師 (90202192)
植田 邦彦 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (60184925)
山田 恭司 富山大学, 理学部, 助教授 (70200714)
三上 哲夫 北海道大学, 農学部, 助教授 (50133715)
山口 和男 金沢大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00019879)
|
Keywords | 植物分類学 / 分子系統学 / 野生植物 / 栽培植物 / オルガネラDNA / cpDNA / mtDNA / RFLPs |
Research Abstract |
(1) DNA解析手法の検討 PCR法を積極的に植物分類学に導入することをめざし、DNA調整法、プライマ-選択・電気泳動法を検討した(寺地)。また、DNAダイレクトシ-クェンシングについても検討・試行した(山口)。 (2) 葉緑体DNAのRFLPsによる野生植物の系統解析 被子植物全体からバラ科を中心に約100種を選び、rbcl遺伝子約600bp領域を増幅、4塩基認識の酵素によるRFLPs解析を行ったところ、3酵素で、3、4、6型の多型が得られ、この方法の多型検出の有効性が確かめられた(清水・寺地・山口)。モクレン科では、モクレン属トキワレンゲ節とネッタイモクレン属は単系統であること(植田)、キク科シオン属および近緑属はそれぞれ単系統とは認められないこと(伊藤)が分り、従来の分類形質の取り扱い方に妥当性を欠くことが指摘された。また、キク科ヒヨドリバナ連は、ヒマワリ連から分化したことが分った(矢原)。 (3) 葉緑体DNAのRFLPsによる栽培種と野生種の系統解析 今年度新たに5種の野生ゴマを入手し解析したところ、栽培種と野生種の類縁がほぼ判明、中でもScapenseが栽培種と最も遠縁であることが分った(山田)。ソバ属では、進化史上、まず普通ソバが分岐した後、宿根ソバとダッタンソバが分化したことが示唆され(貴島)バレイショでは、C、S両型をもつ野生2倍種3種が発見されたことにより、栽倍2倍種の起源の解明が前進した(保坂)。 (4) ミトコンドリアDNAのRFLPsによる栽倍種と野生種の系統解析 日本産野生ダイズ100系統以上を調査したところ、8型のゲノムに群別され、栽培ダイズに近い系統は北海道に自生するが、青森県の1集団を除き、本州〜九州には自生しないことが分った(三上)。コムギ属では2種の野生種においてLOXII遺伝子が異なることが確かめられた(森)。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 清水 建美: "伝統的分類学とDNA分類学" 植物地理・分類研究. 39. 41-60 (1991)
-
[Publications] Senda,M.,Harada,T.,Mikami,T.,Sugiura,M.&kinoshita,T.: "Genomic organization and sequence analysis of the cytochrome oxidase subunit II gene from normal and male‐sterile mitochondria in sugar beet" Current Genetics. 19. 175-181 (1991)
-
[Publications] Mikami,T.,Senda,M.,Kubo,T.&Kinoshita,T.: "Mitochondrial gene mutations and cytoplasmic male sterility in plants:A review" 生研時報.
-
[Publications] Yamada,K.,Morita,T.,Shimokawa,S.,Matsuda,K.,Sugai,M.: "Organellar DNA variation in Sesamum" Japan,J.Breed.41(suppl). 144-145 (1991)
-
[Publications] Yamada,K.,Matsuda.M.,Fujita,Y.,Matsubara,H.,&Sugai,M.: "A frxC homolog exists in the chloroplast DNAs from various pteridophytes and in gymnosperms" Plant Cell Physiol.
-
[Publications] Ogihara,Y.,Terachi,T.&Sasakuma,T.: "Molecular analysis of the hot spot region related to length mutations in wheat chloroplast DNAs.I.Nucleotide divergence of genes and intergenic spacer regions located in the hot spot region" Genetics. 129. 873-884 (1991)