患者中心の医療をめぐる学際的研究

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03305012
• Research Institution: Kyoto Women's University
• Principal Investigator: 星野 一正 京都女子大学, 宗教・文化研究所, 教授 (80111962)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 木村 利人 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80195388) ; 唄 孝一 北里大学, 医学部, 教授 (20086961) ; 中谷 瑾子 大東文化大学, 法学部, 教授 (40050950) ; 青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029) ; 藤井 正雄 大正大学, 文学部, 教授 (30054638)
• Keywords: 生命倫理学 / バイオエシックス / インフォームド・コンセント / 脳死・臓器移植 / 終末期医療 / 尊厳死・安楽死 / 先端生殖医療技術 / 遺伝子診断・遺伝子治療

Research Abstract

文部省科学研究総合A研究として『患者中心の医療をめぐる学際的研究』というテーマのもとに、平成3年度からの3ヵ年間、専門を異にしながらもバイオエシックス(bioethics)の観点から研究をしている十名の共同研究者と共に研究を進めてきた。単に、医学・医療の面からの研究では解明されえない人にとって重要な問題について、宗教学、哲学、倫理学、法律学、医療経済学、生物科学の専門家に、医学、医療、看護などの医療関係者も加わった研究班員一同が集まって、異なる立場から議論をし、さらに既に発表されている文献資料の内容を分析検討し、現在の日本社会に適した生命倫理観を模索しつつ共同研究を積み重ねてきた。第一年度には、主に「人の死をめぐる諸問題」を、第二年度には、主に「人の生をめぐる諸問題」に焦点を合わせて研究をし、第三年度には、前年度から進行中の研究を総括的に見直し、必要な追加研究課題を絞って研究を纒めると共に、生と死の両面からの研究課題についても研究を行った。最近、わが国において議論の多い次のようなテーマ:臓器移植、脳死、植物状態、末期医療と緩和ケア、がんの告知、自然死、尊厳死、安楽死、根治療法が未だにないエイズ、ホスピス・ビハーラ、体外受精・胚移植、凍結受精卵による体外受精、顕微授精、男女の生み分け、遺伝子診断を含む出生前診断・遺伝子治療、人工妊娠中絶などすべて検討された。各年度ごとに上智大学7号館の特別会議室で開催してきた当研究班の公開討論会の第3回目は、平成6年1月23日に開催され、「研究班の研究経過報告」に次いで「医療経済の立場から」「法学の立場から」「生命科学の立場から」「遺伝をめぐるバイオエシックス」「生命維持治療の放棄をめぐる自己決定とその代行」「宗教の立場から」「臨床の立場から」の順で研究発表と質疑応答があり、最後に「総合自由討論」が行われた。今回は、3か年の研究を基にしたので、大変興味深く、学ぶところが大きく、纒めに相応しい意義のある公開討論会となり好評であった。

Research Products

• [Publications] KAZUMASA HOSHINO: "LEGAL STATUS OF BRAINDEATHIN JAPAN:WHYMANY JAPAESE DO NOT ACCEPT“BRAIN DEATH"AS DEFINITION OF DEATH" Bioethics. vol.7 No.2. 234-238 (1993)
• [Publications] 星野 一正: "終末期医療における患者本人の意思の重さ" 京都女子大学宗教・文化研究所 国際バイオエシックス研究センター ニュズレター. 第8号. 1 (1993)
• [Publications] 星野一正: "死の迎え方における患者本人の意思の重さ" 時の法令. 第1448号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "安楽死はオランダに学べ" 文芸春秋. 71巻第5巻. 334-341 (1993)
• [Publications] 星野一正: "患者が望む医療のあり方" 病院. vol.52 No.5. 406-408 (1993)
• [Publications] 星野一正: "患者の意思の尊重" 日本歯科医師会雑誌. vol.46 No.2. 42-43 (1993)
• [Publications] 星野一正: "特集患者の意思の尊重-バイオエシックスの見地より インフォームド・コンセント-特に日本になじむあり方" ターミナルケア. vol.3 No.3. 186-189 (1993)
• [Publications] 星野一正: "特集患者の意思の尊重-バイオエシックスの見地より 積極的安楽死の現状と日本での問題点" ターミナルケア. vol.3 No.3. 205-209 (1993)
• [Publications] 星野一正: "癌告知のむずかしさ" 弘大しらぎく. 第31号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "オランダ議会下院で可決された安楽死の違法性阻却のガイドライン" 時の法令. 第1450号. 4-5 (1993)
• [Publications] 星野一正: "オランダにおける安楽死の法的現状" 日本医事新報. 第3606号. 95-96 (1993)
• [Publications] 星野一正: "ビハーラ現状と課題 58 先端医療におけるターミナルケア" 宗報(本願寺出発社). 第333号. 8-11 (1993)
• [Publications] 星野一正: "エイズ問題の難しさ" 時の法令. 第1452号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "特集看護と生命倫理の現在 倫理委員会における看護婦の役割" 看護学雑誌. vol.57 No.7. 594-597 (1993)
• [Publications] 星野一正: "患者の人権をめぐる諸外国の事情" 医療'93. vol.9 No.9. 46-51 (1993)
• [Publications] 星野一正: "「安楽死」はオランダに学べ 安楽死先進国オランダに学ぶ“死に方の研究"" 京大自粛. 第32号. 34-41 (1993)
• [Publications] 星野一正: "遺伝子治療時代への幕開け" 京都女子大学宗教・文化研究所 国際バイオエシックス研究センター ニューズレター. 第9号. 1 (1993)
• [Publications] 星野一正: "尊重されるにすぎない患者の医師" 時の法令. 第1454号. 4-5 (1993)
• [Publications] 星野一正: "遺伝子治療の時代への突入" 時の法令. 第1456号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "先端生殖技術による人間のクローニング" 時の法令. 第1458号. 4-5 (1993)
• [Publications] 星野一正: "共同研究死生観をめぐるバイオエシックス Bioethical Considerations on the View of Life and Death" 宗教・文化研究所だより. 第11号. 5-6 (1993)
• [Publications] 星野一正: "尊重されるに過ぎない患者の医師" 京都女子大学 宗教・文化研究所 国際バイオエッシクス研究センター ニューズレター. 第10号. 1 (1993)
• [Publications] 星野一正: "男性同性愛は遺伝するのか" 時の法令. 第1460号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "カナダ最高裁、医師による自殺幇助拒否の判決" 時の法令. 第1462号. 4-5 (1993)
• [Publications] 星野一正: "再び、ヒトのクローニング問題化す" 時の法令. 第1464号. 2-3 (1993)
• [Publications] 星野一正: "インフォームド・コンセント-その発生から現状まで" 看護. vol.46 No.1. 153-161 (1994)
• [Publications] 星野一正: "生命倫理の観点からみたエイズ問題" 百万遍通信. 第31号. (1994)
• [Publications] 星野一正: "エイズ対策としての普遍的予防策(Universal Precaution)の勧め" 京都女子大学宗教・文化研究所 国際バイオエッシクス研究センター ニュズレター. 第11号. 1 (1994)
• [Publications] 星野一正: "治療中の患者にエイズを感染させない普遍的予防策" 時の法令. 第1466号. 4-5 (1994)
• [Publications] 星野一正: "脳死者の死亡時刻" 時の法令. 第1468号. 2-3 (1994)
• [Publications] 星野一正: "終末期医療における患者の医師" 「現代のことば」 京都新聞(平成5年4月22日 夕刊). (1993)
• [Publications] 星野一正: "エイズ患者をめぐる社会的対応" 「現代のことば」 京都新聞(平成5年6月3日 夕刊). (1993)
• [Publications] 中谷瑾子、星野一正: "時論-脳死時刻を初回判定時とするイタリア臓器移植法" 日本医事新報. 第3634号. 95-100 (1993)
• [Publications] 中谷瑾子: "諸外国にみる生殖医療療技術と法律" 生殖医病技術の進歩と生命倫理. 56-68 (1993)
• [Publications] 中谷瑾子: "ニュージャージー州の死亡宣告と脳死論議のゆくえ-動き出した「臓器移植法(仮称)案」提案を参考にして" 大東法学. 3. 63-95 (1993)
• [Publications] 青木清: "環境問題と生態学" 生命科学. 3. 79-81 (1993)
• [Publications] 唄孝一: "医事法学者は医療のために何ができるか" ジュリスト. No.1033. 58-67 (1993)
• [Publications] 唄孝一: "老人の財産に関する法律行為の研究" 長寿科学総合研究平成4年度研究報告. 6. 46-49 (1993)
• [Publications] 福間誠之: "脳死状態になった子供の死をどうしても受け入れられない家族へのケアをどう進めるか" ナースプラン. 3. 32-41 (1993)
• [Publications] 福間誠之: "201Tl-SPECTによる脳腫瘍の鑑別診断" 脳神経外科速報. 3. 969-972 (1993)
• [Publications] 福間誠之: "「臓器摘出に関する法律(試案)」および「要望書」とその趣旨" 医療'94.
• [Publications] 藤井正雄: "期待される仏教の役割" 大正大学研究論叢. 2. (1993)
• [Publications] 江見康一: "日本文化と生存科学との対話" 生存科学. vol.4. 157-175 (1994)
• [Publications] 江見康一: "日本の医療費構造" 興和医報. No.152. 79-81 (1993)
• [Publications] 江見康一: "米国研究者の見た日本の医療" 興和医報. No.153. 64-65 (1994)
• [Publications] 江見康一: "国民経済と医療経済" 医療'94. vol.10. 76-79 (1994)
• [Publications] 江見康一: "社会保障のリストラ構想をどう集約するか" 総合社会保障. vol.32. 42-43 (1994)
• [Publications] 江見康一: "「93年度経済白書」を読んで" 公済時報. vol.44. 2-9 (1993)
• [Publications] 木村利人: "先進医療とバイオエッシクス" 人工臓器1993. 年鑑. 7-12 (1993)
• [Publications] 木村利人: "医師・患者双方の意識改革なしにインフォームド・コンセントは進まない" 日本の論点'94. 年鑑. 386-391 (1993)
• [Publications] 木村利人: "いのちを豊かに生きるため-バイオエッシクスの展開と作業療法-" 長野県作業療法士会学術誌. 第11号. 3-12 (1993)
• [Publications] 木村利人: "安楽死の法制化運動-欧米と日本との違い-" 国際BIOETHICS NETWORK NEWSLETTER. No.10. 1 (1993)
• [Publications] 木村利人: "人間を対象とする生命・医科学研究のための国際的倫理ガイドライン作成の背景" 国際BIOETHICS NETWORK NEWSLETTER. No.12. 10 (1993)
• [Publications] 星野一正: "(分担執筆)「医療の倫理」(書名)WIBA'93" 日本医療企画, 1126 (1993)
• [Publications] 編著 星野一正: "INTERNATIONAL BIOETHICS SYMPOSIUM SERIES 5 倫理委員会のあり方" 蒼穹社, 181 (1993)
• [Publications] 星野一正: "(分担執筆)「遺伝医学における生命倫理の歴史」(書名)ヒト・ゲノム研究と社会" ユバイオス倫理研究会, 238 (1993)
• [Publications] 編著 星野一正: "INTERNATIONAL BIOETHICS SYMPOSIUM SERIES 6・7 環境と生命倫理" 蒼穹社, 344 (1993)
• [Publications] 星野一正: "(分担執筆)「最善を尽くして毎日を生き抜く努力」(書名)青年に贈る言葉わが人生論 京都編(下)" 文教図書, 215 (1994)
• [Publications] 中谷瑾子: "刑法基本講座-臓物罪の本質と臓物の意義" 法学書院, 358 (1993)
• [Publications] 中谷瑾子: "医療における心とことば-リビングウィルとDNR-" 中央法規出版, 296 (1994)
• [Publications] KIYOSHI AOKI: "Ethical Dilemmain Health and Debelopment" Japan Scientific societies press CRC Press, 335 (1994)
• [Publications] 唄孝一: "(分担執筆)(書名)NEUROSURGEONS 第12回日本脳神経外科コングレス講演録" 日本脳神経コングレス(株)サイメッド・パブリケーションズ, 394 (1993)
• [Publications] 唄孝一: "(分担執筆)(書名)医と法 第1回医学会特別シンポジウム" 日本医学会 共和企画通信, 125 (1994)
• [Publications] 唄孝一: "(分担執筆)(書名)生殖医療技術の進歩と生命倫理" 92 (1993)
• [Publications] 福間誠之: "(分担執筆)第8章「終末期患者の心理」(書名)医療の人間学 入院患者の心理" 講談社, 131-148 (1993)
• [Publications] 福間誠之: "(分担執筆)「髄液検査、脳波検査、核医学検査」 (書名)新検査マニュアル" 照林社, 152-155,168-170 (1993)
• [Publications] 藤井正雄: "(分担執筆)「ターミナルケアと仏教」 (書名)救済の論理と心理" ノンブル社, 18 (1994)
• [Publications] RIHITO KIMURA: "Ethics & Reserch on Human Subjects" CIOMS/WHO(Geneve), 228 (1993)