1991 Fiscal Year Annual Research Report
ウェスウィウス山麓における都市および農村の総合的研究
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03401009
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Research Institution | Paleological Association of Japan Inc. |
Principal Investigator |
角田 文衛 (財)古代学協会, 古代学研究所, 所長 (70072709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 泰民 (財)古代学協会, 古代学研究所, 助手 (80172667)
坂井 聰 (財)古代学協会, 古代学研究所, 助手 (20215586)
辻村 純代 (財)古代学協会, 古代学研究所, 講師 (60183480)
川西 宏幸 (財)古代学協会, 古代学研究所, 教授 (70132800)
浅香 正 (財)古代学協会, 古代学研究所, 兼任教授 (70066059)
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Keywords | ロ-マ時代 / ウェスウィウス山麓 / ウィラ(荘家) / ポンペイ / 都市形成 / 都市構造 / 街区(インスラ) / オスク語 |
Research Abstract |
ロ-マ時代のウェスウィウス山麓の都市及び農村を総合的に4ヶ年にわたり研究する計画の初年度である本年度は,研究対象をポンペイ都市の形成と構造,およびポンペイ周辺のウィラ(荘家)に紋り,各々研究分担当がその課題の研究を遂行した。 まず,(財)古代学協会が以前に行った現地調査のデ-タに基づき,ポンペイ市街地の道路形態を研究することで,一方通行,車輌進行方向の規制,道路改修や他の都市施設の設置によるその変化の問題等を考察し,それに関して一定の所見を得た。またポンペイ市街地内の特定の街区(Insula)を抽出し,その中の各住居の建築構造の変遷を辿る研究を行い,上屋構造の復元,壁体構成の分析等を行った。さらに市内の特定の街路に着目し,その街路に沿った一帯の市街地形成の過程を調査し、従来言われていたよりもより長期間にわたって都市形成が行われたことが判明した。これら一連の研究の基礎的作業として,ポンペイ市街地のデジタル・マップ化に着手し,一部の地域でそれを完成した。また前ロ-マ期に書かれたオスク語による銘文を研究し,ポンペイ市街地の古地誌や当時の軍事組織の一端を解明した。 一方郊外のウィラに関して,その数と分布を調べ,用途や形態に基づく分類を行いその一覧を作成した。さらに古典史料に見える農業生産様式の記述と,ポンペイ周辺のウィラにおいて得られた考古学上の知見の照合を行い,史料の記述がかなりの程度正確であることが実証した。これら一連の研究成果は,“Opuscula Pompeiana,II"という英文による小論集において発表される予定である。 研究遂行のための基礎資料としてイタリア学士院刊行の『古代遺跡調査報告』(Notizie degli scavi di antichita)を購入した(一揃としては本邦唯一)。また,各研究分担者や部外の専門家とともに,月一度の定例研究会を行い,専門的知識の深化に努めた。さらに本研究計画全般に関する文献・資料等のリスト作りを行い,コンピュ-タによるこれらの資料のデ-タ・ベ-ス作りに着手した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 坂井 聰: "EKsuk amvianud eituns・・・ポンペイ出土のオスク語銘辞をめぐる一考察" 『古代文化』. 44ー10. (1992)
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[Publications] Tadashi ASAKA etc.: "Opuscula Pompeiana I" The Paleologcal Association of Japan,Inc., 102 (1991)
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[Publications] Tadashi ASAKA etc.: "Opuscula Pompeiana II" The Paleological Association of Japan,Inc., (1992)