1992 Fiscal Year Annual Research Report
「場所」の比較文化的研究-公的な空間における人の居方を対象として
Project/Area Number |
03402044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 鷹志 東京大学, 工学部, 教授 (20024234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 毅 東京大学, 工学部, 助手 (70206499)
菊地 成朋 九州大学, 工学部, 助教授 (60195203)
長澤 泰 東京大学, 工学部, 助教授 (30217989)
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Keywords | 場所 / 比較文化 / パブリック / 人間集合 / 居間 / オープンスペース / 公共 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、異なる文化圏の、住宅、学校、都市空間を対象として公的空間における人の居方に関する文献調査、及び観察記録・ヒアリング調査を行い、公的空間の意味の違いを分析した。主な結果をまとめる 1.住宅に関しては、昨年に引き続き中国天津市の集合住宅(単元住宅の生活実態調査結果を分析した。特に生活場面での人の居方、平面形式と部屋名に注目した分析により、天津の集合住宅においては、機能や個人を部屋に割り当てるのではなく、家族と客が全ての部屋を場面に応じて選択・利用する住様式であることが明らかになった。即ち、LDKに代表される、我が国の公室+個室(私室)形式とは異なる空間概念によって秩序づけられている。 2.我が国の都市のオープンスペースとして最も成功した例とされる三井ビル55広場の行動場面調査より、広場、ステージ、2階デッキ等の場所ごとに、異なった居方-他者や都市の構築環境と異なった関係をとることが可能であることを分析し、視線の向きと他者との関係に注目したオープンスペースでのセッティングのタイポロジーを行った。さらに従来の環境行動研究や都市デザイン理論の中では、非人間的な近代建築に対する批判からアクティビティを比較的無条件に重視し、「そこにどう居るか」についての概念が十分でなかったことが、現代の都市オープンペースの問題を引き起こしている可能性を指摘した。 3.伝統的都市オープンスペースとして、台北市龍山寺の行動場面調査及びヒアリング調査を行った。その結果、単なる観光、宗教としての利用以外に、かなり遠方からを含む地域住民(特に高齢者を中心)によるて、極めて長時間の滞在、議論等を通じてそこで知り合ったグループといった日本のオープンスペースとは異なる性格を持つ場所であることが明らかになった。
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