1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03403022
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
渡辺 武 東京水産大学, 水産学部, 教授 (60017051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀一 東京水産大学, 水産学部, 講師 (80154053)
岡本 信明 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (40114912)
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (70092591)
山口 勝己 東京大学, 農学部, 教授 (50011896)
小泉 千秋 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017045)
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Keywords | 飼料 / エクストル-ダ- / モイストペレット / 生餌 / ブリ / 食味試験 |
Research Abstract |
本年度は、まず魚粉を主体とする原料混合物をエクストル-ダ-でソフトドライペレット(SDP)に成型を作成し、ブリ1年魚と2年魚に給餌し、成長、飼料効率、肉質等に及ぼす影響を生餌やモイストペレット(MP)と比較検討した。1年魚の実験では平均200gのものを海面小割生簣3面に各区345尾ずつ収容し、98日間飼育した。給餌は1日1回とし、実験開始時、2カ月目および実験終了時に魚を取り上げ、一般成分の分析に供した。1区は市販粉末飼料とイワシよりなるオレゴン型MP区(イワシ:粉末飼料=7:3)、2区は前述のSDP、3区は凍結イワシにビタミン剤を添加した生餌区を設けた。増重率はMP区が247%とSDP区の220%、生餌区の197%に比較し多少優れていたが、飼料効率はSDP区53%、生餌区50%、MP区47%の順であった。次に、体重1kg前後の2年魚各区175尾宛海面小割生簣に収容し、216日間飼育した。その間、4回魚を取り上げ分析に供した。増重率は生餌区が263%と最も優れ、以下、SDP区224%、MP区205%、飼料効率は生餌区43%、SDP区42%、MP区32%となり、MP区の低下が顕著であった。生餌区では高い増重を示したが、これは10月から12月の水温低下時期における差であった。この期間中の生餌のタンパク質含量は65%と3試験区の中では最高であった事から、水温の低下時期に高タンパク質の餌を与える事が有効であると判断された。なお、生残率は1年魚および2年魚とも生餌区で最も低かった。背肉部の脂質含量を見ると、生餌区は22%と最も高く、次いでSDP区の16.3%、MP区の8.6%と試験区により大きな差が生じると共に、1年魚と比較し生餌区で著しく魚体に脂質を著積しているこがわかった。さらに筋肉部位および肝臓における中性脂肪の蓄積を組織観察により調べた結果、生餌区で最も強く、次いでSDP区、MP区の順となり、脂質の分析結果と一致した。食味試験では、3試験区間で大差なかった。血液性状では、SDP区で1尾が異常に高いGOT、GPT、ALP活性を示したため、3尾の平均値ではSDP区が全般的に高かったが、そのデ-タを除くと3区間に有意差は認められなかった。本年度の結果により、ブリは200gから4kg前後までSDPでの飼育で可能でありMP飼料を上回る成長を示すと共に、生餌に匹敵する飼料であることが明らかになった。
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