1992 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う学習・記憶障害発症機序とその予防-自然発症老年期脳障害モデルSAMを用いた総合的研究
Project/Area Number |
03404023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 俊男 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00027088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 京一 京都大学, 胸部疾患研究所, 講師 (20173156)
細川 昌則 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (00127135)
秋口 一郎 京都大学, 医学部, 助教授 (30115779)
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Keywords | 老化促進モデルマウス / 老年期脳障害モデル / 老化 / 学習・記憶障害 / 脳萎縮 / 食餌脂肪酸 |
Research Abstract |
1.モデルの系統維持が順調に行われた。即ち経時的な老化度評点、寿命遺伝子モニタリング、老化病態のチェックにより各系統の恒常性が確認された。2.食餌を用いた非嫌悪学習事態である遅延弁別学習において保持時間を変えてP/8を用いた短期記憶のテストを行った。保持時間10.0秒でP/8の方がR/1に比し負刺激に対する誤反応が多い傾向を示し、P/8の8ケ月齢で保持時10.0秒の方が5.0秒より負刺激に対する誤反応が多く、保持時間5.0秒では8ケ月齢の方が2ケ月齢よりも誤反応が多い傾向を示した。次にP/8の学習記憶障害と脳波の関連をみるため、学習中(能動的回避反応)の海馬脳波を記録した。学習によって海馬のシータ波は高周波側に移行し、学習記憶障害の著しいP/8においては海馬シータ波は学習によってもほとんど変化しないことが分った。合成ヒトβ/A4_<1-24>ペプチドに対する抗体を用いP/8脳の免疫組織化学的研究の結果、中隔野、大脳皮質深層、海馬、小脳、脳神経核及び根部等広汎な部位に径1.5〜2.5μmのβ/A4様免疫活性陽性顆粒(β-LIGS)を認めた。本顆粒は加齢と共に増加し、特にP/8脳では著しい。β-LIGSの構成成分はβ/A4部位を含む14〜18KDaのAPP断片の可能性が高い。3.画像解析装置を用い、P/10脳の萎縮部位を同定した。加齢に伴い最も強い萎縮をみたのは大脳前頭野新皮質でその他の皮質領野、嗅脳系皮質、扁桃体にも広範に萎縮をみた。大脳皮質萎縮は大型ニューロンの脱落と細胞体萎縮による。正常老化R/1脳では生後24ケ月齢で頭頂野新皮質の軽度の萎縮をみる程度である。以上アルツハイマー病との類似はP/10のモデル動物としての重要性を示唆する。4.食餌中の脂肪酸の変化がP/8の学習記憶障害に与える影響をみるため9%のべにばな油(リノール酸に富む)あるいはしそ実油(α-リノレン酸に富む)を含む精製飼料を自由摂取させ種々の学習課題について検討したところ、しそ実油群において学習・記憶障害の進展が有意に抑圧されることが分った。
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[Publications] Shinada,A.: "Inbred SAM-P/10 as a mouse model of spontaneous,inherited brain atrophy" J.Neuropathol.Exp.Neurol.51. 440-450 (1992)
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[Publications] Shimizu,K.: "Innunohistochemical studies of age-associated amyloid diposition in the joint of senescence accelerated mouse(SAM)" Z.Rheunatol.51. 243-248 (1992)
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[Publications] Higuchi,K.: "Developmental and age-related changes in apolipoprotein B (apoB) mRNA editing in mice" J.Lipid Res.33. 1753-1764 (1992)
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[Publications] Naiki,K.: "Genetic analysis of murine senile amyloidosis" Lab.Invest.63(3). (1993)
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[Publications] Shimada,A.: "Age-related deterioration in conditional avoidance task in the SAM-P/10 mouse, an animal model of spontaneous brain atrophy" Brain Res.
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[Publications] Takemura,M.: "/A4 protein-like immunoreactive granular structures in the brain of senescence-Accelerated Mouse(SAM)" Am.J.Pathol.
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[Publications] Shimada,A.: "Proceedings of the 4th International Symposium on Dementia,1992" National Center of Neurology and Psychiatry, PP1-5 (1992)
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[Publications] 竹田 俊男: "新老年学" 東京大学出版会, PP227-245 (1992)