1991 Fiscal Year Annual Research Report
手術侵襲下における生体反応と蛋白・エネルギ-基質代謝動態に関する研究
Project/Area Number |
03404035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 昌造 東北大学, 医学部, 教授 (70004877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 東北大学, 医学部, 助手 (10187338)
大河内 信弘 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40213673)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 助手 (20192106)
平山 克 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20181191)
西平 哲郎 東北大学, 医学部, 講師 (50101142)
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Keywords | 蛋白・エネルギ-代謝 / 安定同位体 / 間接熱量計 / リポ蛋白リパ-ゼ / マイクロダイヤリシス |
Research Abstract |
侵襲下における蛋白・エネルギ-代謝を検討した。15NーGlycineを用いた実験から、侵襲下においては、蛋白代謝回転が上昇し、蛋白の合成も分解も亢進していることが明らかとなり、13ーCオレイン酸を用いた脂肪代謝動態の分析では、健常人では5%ブドウ糖投与下の方が外因性脂肪が利用され、6時間まで約40%、13CーCO_2として回収することができた。しかし、手術患者において同様な実験をしてみると健常人と同様に40%程度しか呼気中に13Cが回収できず、代謝動態は脂肪を燃焼しているにもかかわらず、外因性の脂肪(LCT)の燃焼は亢進してはいなかった。間接熱量計による安静時エネルギ-消費量および呼吸商の検討から、食道癌患者では、3病日にエネルギ-充足度は正に転化し、呼吸商も1〜2病日に1.0をこえる。一方、耐糖能異常を示す患者では、血糖がコントロ-ルされているにもかかわらず呼吸商は低く、内因性脂肪の利用が高かった。また、食道癌患者に運動負荷を与えエネルギ-消費量を測定してみると、エネルギ-代謝活性は低く、負荷後の呼吸商の回復も遅かったことから、癌患者におけるエネルギ-予備力の低下と基質利用障害の実態が明らかになった。 また、脂質利用にかかわるリポ蛋白リパ-ゼ活性の検討から、末柆血菅壁に存在するリポ蛋白リパ-ゼは脂質授与によって活性化し、敗血症によっても活性化されるが、肝性リパ-ゼは脂肪投与(LCT)によって活性が低下し、敗血症、肝障害によっても活性が低下するが、新しい脂肪基質であるMCTによって活性化され、MCTをより基質とすることが明らかとなった。また、ラットにおいて視庄下部にマイクロダイヤリスカテ-テルを留置し、侵襲下のカテコ-ルアシン分泌を検討したところ、侵襲によって分泌は亢進し、一方敗血症では亢進ののち抑制されることが判明した。現在、研究をさらにすすめているところである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大河内 信弘: "腸管大量切除と肝障害" JJPEN. 13(5). 417-422 (1991)
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[Publications] 西平 哲郎: "高カロリ-栄養投与法による胸部食道癌術後Aggressive chemotherapy" 日本癌治療学会誌. 26(4). 835-836 (1991)
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[Publications] 今野 文博: "癌治療Cancer Therapy" 栄養ー評価と治療. 8(2). 153-159 (1991)
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[Publications] 横田 憲一: "代謝・栄養の評価" 臨床外科. 46(5). 575-582 (1991)
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[Publications] 標葉 隆三郎: "インスリン分泌能からみた術後の血糖管理" JJPEN. 13(7). 577-585 (1991)