1991 Fiscal Year Annual Research Report
認知主体における「こころ」「信念体系」「行為」の相互連関に関する総合的研究
Project/Area Number |
03451001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 精司 北海道大学, 文学部, 教授 (60045333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉谷 啓次 北海道大学, 文学部, 助手 (50230719)
中川 大 北海道大学, 文学部, 助手 (40237227)
富松 保文 北海道大学, 文学部, 助手 (00207622)
田中 伸司 北海道大学, 文学部, 助手 (50207099)
山田 友幸 北海道大学, 文学部, 助教授 (40166723)
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Keywords | 認知主体 / 行為主体 / 表象 / 信念体系 / 対話理論 / 身体 |
Research Abstract |
認知科学の発展にともない、「こころ」「信念体系」「行為」などの概念に関する哲学的な再検討が必要とされているが、哲学史あるいは哲学史あるいは哲学の伝統を踏まえつつ、認知科学の基礎論の整備に貢献することを目的として、本研究は発足した。平成3年度の成果としては、まず 1.たとえば言語使用といった行為を遂行する場面で、知覚における信念に比せられる信念が存在し、そうした信念に基づいて言語が使用され、さらに「表象」に関してもそうした信念に基づいて形成されるということ 2.信念を願望とともに行為を説明するものとして行為に相関的に捉らえる観点の下で、命題と文の区別と類比的に、信念内容(命題)と信念状態が区別されなければならず、行為と連関するのは、むしろ信念状態の方であるということ 3.行為の社会哲学的・倫理的再検討の結果としては、行為の倫理的正当化の際に、現実的には伝統的な平等原理が有効でない場合があり、われわれが持っている生活全般に関わる信念体系を適切に反映させる手続きを経ることによって、はじめて説得力を持ちうるということ 4.知覚に代表される表象作用が、認識主観の「構成」という操作によって形成されるのではなく、身体を持ってわれわれが存在するという事実と不即不離のかたちで形成されるということ、 等が確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 坂井 昭宏: "平等感情と正義ーQALYsに基づく医療資源配分ー" 『情念の哲学』・東信堂. 246-272 (1992)
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[Publications] 山田 友幸: "心と行為の状況依存性" 創文. 325号. 21-24 (1991)
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[Publications] 富松 保文: "言語的信ーメルロ=ポンティ言語論の再検討ー" 現象学年報(日本現象学会). 7. 63-77 (1991)
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[Publications] 田中 伸司: "プラトン『リュシス』篇の構造" 北海道大学文学部紀要. 72号. 1-64 (1991)
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[Publications] 吉谷 啓次: "「見ること」と「語ること」ーメルロ=ポンティの身体論ー" 『情念の哲学』・東信堂. 156-173 (1992)