1993 Fiscal Year Annual Research Report
知識の学習と知識利用のメカニズムに関する認知論的・動機づけ論的研究
Project/Area Number |
03451014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大村 彰道 東京大学, 教育学部, 教授 (60037041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 哲雄 東京大学, 教育学部, 助手 (30251424)
竹綱 誠一郎 学習院大学, 文学部, 助教授 (90188201)
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Keywords | プライミング / 言語発達 / 語彙獲得 / 音楽認知 / 文章理解 / 音楽心理学 |
Research Abstract |
1.プライミング法を用いて俳句の検索過程を調べた。学習した俳句の上・中・下のいずれかをプライム、ターゲットとして提示し、両者が同一俳句のものであるかを判断するという課題を用いた。結果として、想起の系列性が確認された。すなわち、上5から中7の検索の方が、上5から下5の検索より時間が短く、また、逆順の方向で検索すると時間が遅くなった。俳句は、やはり575の塊で貯蔵され、その順で探索され易いと解釈されよう。 2.記憶や知識利用、言語理解の研究のために、多義語を用いた先行研究を概観し今後の研究課題を探った。同音異義語は、その同音性ゆえに単語認知における音韻処理をめぐって重要な研究対象であり、複数言語間の同音異義語は、バイリンガルの語彙表象・処理について検討する手がかりとなっている。日本語が多義性研究において独自の寄与をなしうることが確認された。すなわち、同音異義語の多さ、漢字と仮名という意味・音韻・形態が複雑に関連しあった独特の表記システムだからである。 3.小学3年生の社会科の授業(7時間分)のビデオ記録から、こども達が授業中に発した疑問・質問を拾い上げ、その種類を検討し分析中である。学習中に生徒が抱く疑問と学習意欲(探究心)との関係を今後調べていきたい。 4.認知と情動との関係を調べる一つの試みとして、音楽において期待からの逸脱が情緒的反応に及ぼす影響、を研究した。「適度に」期待から逸脱した場合に、情緒反応が最大になるという逆U字型の関係が示された。 5.こどもが物の名(ラベル)をどのように学習していくのか、言語知識の発達を調べた。「1事物1名称」(物には名前が1つしかない)という制約をどのように克服していくのか、3、4、5歳児を対象に研究した。
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[Publications] 大村彰道: "プライミング・パラダイムによる俳句の検索過程" 日本心理学会第34回総会発表論文集. 186 (1993)
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[Publications] 久野雅樹: "多義語研究の動向と課題" 東京大学教育学部紀要. 33. 107-115 (1993)
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[Publications] 榊原彩子: "音楽において期待からの逸脱が情緒反応に及ぼす影響" 教育心理学研究. 41. 254-263 (1993)
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[Publications] 針生悦子: "未知物に関する説明が新奇なラベルの相互排他約解釈に及ぼす影響" 発達心理学研究. (印刷中). (1994)
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[Publications] 秋田喜代美: "物語理解における挿し絵利用の発達的検討" 立教大学心理学科年報. 36(印刷中). (1993)