1991 Fiscal Year Annual Research Report
先天盲の開眼手術後における視覚的定位活動と空間内行動調整活動
Project/Area Number |
03451015
|
Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
鳥居 修晃 聖心女子大学, 文学部, 教授 (50015012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 登志子 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (70060671)
|
Keywords | 先天盲開眼者 / 定位活動 / 空間行動 / 鏡映像定位活動 / 線画立体視 / 歩行活動 / 視覚遮断 |
Research Abstract |
1.平成3年度に行われた2名の開眼者(MO,ToM)の視覚的定位活動と空間内行動調整活動に関する実践研究の成果は、次の通りである。 (1)開眼少女MO:(a)13種類の色紙(A4版またはその1/2の大きさ)を用いた単独提示識別実験では、色紙の提示距離を独立変数としてその対応率を調べてきたが、錬成試行を重ねるとともに識別可能な距離が次第に延び、最も好調なときには180cmの距離からでも90〜100%の対応率が得られるまでになった。(b)数種の白台紙上の黒色面図形による単独提示識別実績でも、90%以上の対応率が得られる距離が、当社の顔に接する位の段階から10cm前後にまで延びている。(c)定位活動に関しては、台紙上の特定領域(輪郭で囲まれた領域)内に色を塗る課題を通じて、手の活動を眼で調整する活動の錬成を図ることに成功した。(d)手に持つことができる台紙上の複数の図領域の定位活動を反復した結果、それらを確実に眼で探し、短期記憶に留めることも出来るようになった。(e)自己鏡想像について、当初の、鏡の背後に定位して手を伸ばす状態からは脱したものの、それを自己であると認識するまでには至っていない。 (2)開眼少女Tom:(a)透視図的線画の立体視が可能かどうかの実験を2年半近くにわたって試みてきたが、まだ確実に立体視するまでに至っていない。(b)日常熟知した空間内(仙台駅構内など)では、白杖なしに眼で障害物や通行者を避けて歩行することができるようになった。しかし、不慣れな空間内(東京駅の構内など)では、歩行に支障をきたすことがあるため、「行動図(歩行のための認識地図」)を作成して錬成を図るようにしている。(c)日常歩行場面で「上りの階段」は眼で検出できるようになったが「下りの階段」は難しい。これはtexture gradientの密度差をまだ「深さ」の情報として抽出できないことを意味する。2.晴眼成人がアイマスクを着用して歩行する際の行動を記録した。
|
-
[Publications] 望月 登志子(鳥居): "映像認知における色彩の効果" 日本女子大学紀要 人間社会学部. 2. (1992)
-
[Publications] 鳥居 修晃,望月 登志子: "視知覚の形成1ー開眼手術後の定位と色・形の弁別ー" 培風館, (1992)