1991 Fiscal Year Annual Research Report
ライフコ-スアプロ-チに基づく教師の職能成長と地域ネットワ-クづくりに関する研究
Project/Area Number |
03451043
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊藤 敬 静岡大学, 教育学部, 教授 (40021894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 講師 (90223601)
山崎 準二 静岡大学, 教育学部, 助教授 (50144051)
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Keywords | 教師 / ライフコ-ス / 職能成長 / 自己形成史 / 地域ネットワ-ク |
Research Abstract |
研究期間の初年度である本年は、当初の計画にしたがって静岡県志太地域内に至る現職教師8名(この数は当初の計画より少ないが若手教師及び女性教師の協力者を得ることが難しく年輩の男性教師のみ可能であったため)と、それと比較の必要が生じたため静岡市内に在る現職教師2名の、計10名に一人4〜5時間に及ぶ“教師としての自己形成史"をインタビュ-調査し、分析した。 前者8名の教師は、志太地域内において第二次大戦後比較的早くから結成され研究活動を展開していた自主的な研究サ-クル「志太生活教育同好会」の会員たちである。生育歴の異なる者たちが学生時代に、あるいは教職に就いてから赴任校で出会い、同サ-クルに参加していくようになる。毎月例会を開催し、そこに自らの実践を持ちより、互いに検討し合うことによって実践者としての力量を獲得していく教師集団としての重要な自己教育の場となっていた。同時に同サ-クルは、彼らが国語・社会などの様々な問題意識に基づいてさらに各種の研究会・サ-クル組織に加わって勉強を積んでいく様になっても、常に彼らにとって職能成長の「母港」的役割を果たしていった。こうして同サ-クルを基盤に志太地域の様々な研究会・サ-クルが生まれ人的関係が網の目のようにネットワ-ク化され教師集団としての職能成長に寄与していった実態が浮かび上がってきた。 しかし彼らが退職を迎える年齢になってきた現在、若手教師の研究会・サ-クル離れが進むなかで、彼らの築いてきたものは必ずしもうまく継承されてきたとはいえない。もはや同サ-クルのような役割を担い、教師集団としての職能成長に寄与する組織はありえないのであろうか。あるいはそれに取って代わる別の形態としての組織としてはどのようなものがありえるのだろうか。次年度の研究課題である。
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