1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03451087
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北川 泉 島根大学, 農学部, 教授 (60032546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 勝久 島根大学, 農学部, 助教授 (80159863)
井口 隆史 島根大学, 農学部, 教授 (70032604)
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Keywords | 過疎山村 / 農林業生産 / 森林管理 / 定住条件 / 国土保全 |
Research Abstract |
1.適切な森林管理の継続のためには、伐採・造林・保育という林業生産の循環が成り立つような条件を必要とする。しかし、近年の木伐価格の低迷は、林業の採算を悪化させ、生産循環を困難にしている。森林管理の主要な担い手である自営林家や各種の林業事業体が、少々の努力をしたとしても到底対応できず、管理不十分な森林を一層増加させる恐れが強まっている。間伐材等森林生産物の有効な利用策を創出する必要がある。また、林業従事者の組織化とその効率的活用のための地域ぐるみのシステムづくりも検討されなければならない。 2.人口減少と高齢化が同時進行する現在の山村地域の状況は、従来通りの産業支援策のみでは対応できない所まで来ている。国土保全や環境維持が健全な農林業生産の継続によってもたらされる、ということを前提として対応策を考えれば、地域に人々が定住し、生産活動を継続するということがなければならない。若い世代、教育年齢の子供を抱えた壮年世代が定住できないことが、過疎化、高齢化の原因となっているのであるから、まず若壮年者の定住条件を整えることが第一である。そのためには、農林業の振興だけではなく、多様な就労機会の創出、定住できる社会環境づくりと一定額の所得補償が求められる。もちろん、農林業所得を可能な限り向上させる努力は自地ともに必要であるが、それでもなお不足する部分については、何らかの直接的な所得補償を行わなければならない。 3.既に、EC諸国では行われている政策であるが、検討を要するのは彼我の条件の違いである。農地を主体とするEC諸国の条件不利地対策と森林を主たる対象とする日本のそれとでは、具体的な方法が異なる。更に、森林を対象とする場合、単なる所有森林と経営森林,人工林と天然林をどう区別するかの検討も必要である。
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