1993 Fiscal Year Annual Research Report
土中の剪断面・ヘヤクラックの物理的性質に関する研究
Project/Area Number |
03452269
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岸本 良次郎 岩手大学, 農学部, 教授 (40224935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀和 岩手大学, 農学部, 助教授 (80003789)
|
Keywords | 剪断層・剪断面の発達過程 / 土粒子の配列 / 土の空隙の構造 / X線造影法 / 走査型電子顕微鏡 / 透水係数 / 窒素ガス吸着法 / 土の比表面積 |
Research Abstract |
前年に続き、一面剪断試験機で作った種々の発達段階の剪断層の物理的諸性質を研究し、多くの新知見を得た。試料はカオリナイトおよび篩分けた火山灰である。 1.剪断面の走査型電子顕微鏡像 剪断層を割って剪断面を露出させ、走査型電子顕微鏡の種々の倍率で面の構造の鮮明な像を撮影した。(1)火山灰試料:内眼的には表面は粗である。高倍率で前年報告の将棋倒し構造を解明した-小剪断面に境され、三角形状の土の小薄片が、将棋倒し状に重なりつつ連鎖する。個々の小片と連鎖との角は大。連鎖と強制剪断面との角度は、剪断破壊時点では大だがクリープ段階では小。剪断破壊の応力条件は剪断の進行に伴って複雑に変わる。(2)カオリナイト:表面は滑らかであるが、高倍率ではほぼ等大の粒子が剪断面にそって並んでいる。将棋倒し構造は少数で、強制剪断面となす角は小さい。 2.剪断層の透水係数 剪断層の発達段階により透水係数が変化する過程を定量的に初めて解明した。(1)透水係数は土によって相違がある。また透水係数は一般に一面剪断の開始から漸減し、破壊付近で最低になり、クリープに達すると再び増加する。(2)これらから、剪断試験における透水係数は、剪断層の発達と、土の圧縮の両者の影響を受けると考えられる。 3.剪断の発達に伴う剪断層の発達過程:前年に引きつづき試験した。 4.剪断層の土の間隙と比表面積の関係 土の保水と土粒子の量・比表面積の関係機構を、H_2Oガス・N_2ガス吸着試験により研究し、(1)吸湿・脱湿過程のヒステリシス(2)有機物と両比表面積の関係(3)有機物処理の意味(4)比表面積と物理性・力学性の関係とアロフェンや有機物の影響、等を解明した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 岸本良次郎: "一面剪断試験の剪断層の構造と水理的性質(2報)" 平成5年度農業土木学会大会講演要旨集. 602-603 (1993)
-
[Publications] 岸本良次郎: "土の剪断層の物理的性質(2報)" 第32回地すべり学会研究発表講演集. 329-332 (1993)
-
[Publications] 岸本良次郎: "剪断層の構造と物理的性質" 第29回土質工学研究発表会. (予定). (1994)
-
[Publications] 岸本良次郎: "土の一面剪断試験の剪断層の構造" 地すべり(予定). 31-1. (1994)
-
[Publications] 馬場秀和: "H_2Oガス、N_2ガスを用いた各種土の比表面積測定結果とその発現機構" 農業土木学会論文集. (予定). (1994)