1991 Fiscal Year Annual Research Report
水稲葉のRuBisCOの合成・分解・反応速度の遺伝的制御に関する研究
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03454035
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹原 健夫 山形大学, 農学部, 教授 (20005606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 利徳 山形大学, 農学部, 助教授 (80202670)
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Keywords | ルビスコ / イネ生態種 / 葉令 / アミノ酸特異性 / 玄米への転流 |
Research Abstract |
ルビスコの合成・分解に関して、稲の上位葉、中位葉および下位葉の遊離アミノ酸の変動を検討した。生態種を通じて、リジンが葉の老化とともに増加する結果が得られた。他のアミノ酸ではアラニン、プロリンが日本型品種で葉の老化とともに増加し、他の生態種ではスレオニン、アルギニンおよびヒスチジンが葉の老化とともに増加する結果が得られた。その他のダイマ-ないしポリマ-とみられる成分に関しても葉令とともに増減する結果が得られ、これらの成分は、遊離アミノ酸抽出後酸分解することによってアミノ酸として識別可能と推定された。 葉内蛋白質中最も大量に存在するルビスコは、その合成・分解過程において、遊離アミノ酸の最大の供給源とみられる。本年度の実験結果、生態種および葉令の双方から遊離アミノ酸の含量および組成が異なることが判明した。ルビスコのアミノ酸組成は、イネ属の内では同等であると推定されたが、本研究の結果葉令の若い葉の遊離アミノ酸組成が異なっていたことは、ルビスコの合成および活性にイネ属内で差異のあることを推察させる。さらに、葉令の古い葉でも遊離アミノ酸組成が異なる結果は、ルビスコの分解過程に差異のあることを示唆し、生態種によって「葉の老化」の過程・活性の維持期間などが異なることを示唆している。 本実験では葉令の異なる葉を、個体の上・中・下位の葉とした。しかし、今後同一葉位で時期の異なる葉を用いる予定である。さらに、ルビスコを葉令の異なる葉から抽出し、遊離アミノ酸供給源としてのルビスコのアミノ酸組成を明らかしていく予定である。さらに、分解されたアミノ酸の玄米内への集積の過程についても検討していく計画である。
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