1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武岡 洋治 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 富吉 名古屋大学, 農学部, 助手 (20158702)
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Keywords | イネ小穂 / 形態形成 / 貫生 / 環境ストレス / 性発現 / 雌ずい増生 / エチレン / 幼穂 |
Research Abstract |
1.イネの多雌ずい性突然変異体REDS-1とその原品種レイメイを用いて、小穂構成器官の形成反応を顕微解剖学的方法を用いて比較観察した。通常栽培下においてREDS-1の小穂内器官の形態は、レイメイとは全く異なり、多様な異常を多発した。これらの異常は総じて雌性化を示すものであるが、REDS-1の特異な点として、雄ずいが増生し、これが稔性花粉を形成し、しかも稔実果が得られた。環境要因の影響として、高温とエチレンの処理を穎花分化期に行った。REDS-1とレイメイともに小穂内器官の雌性化傾向が顕著になった。 2.水稲多収品種(北陸147号、タカナリ、オオチカラ)と標準的品種日本晴の穂および小穂の構造発達を、主としてクライオ走査電子顕微鏡を用いて観察した。多収性品種と日本晴の幼穂形成間には大きな違いは見られなかったが、前者ではとくに各枝梗および小穂の分化数の多いことを、幼穂分化時に把握できた。多収性品種は相対的に長い生殖成長期の間に、これらの分化器官を発達させ稔実果を形成した。このことは多収性品種の大きなシンクサイス形成と、光合成速度などのソース器官の機能により支えられているものと推察された。窒素追肥やジベレリン処理により、多収性品種の分化した枝梗や小穂の数は日本晴と同様に増加した。とくに前者の二次の枝梗や分化穎花の数に変動は後者より大きく、このことから環境諸条件によるシンクサイズの変動がここで比較的容易に生ずるものと見なされた。幼穂形成期のジベレリン処理により、若い小穂の構成器官に雌性化の異常が多発し、その後十分に成長を遂げずに退化した。 3.イネの穂ばらみ期の冷温反応と幼苗期低温反応を品種コシヒカリと金南風を用いて比較検討した。穂ばらみ期に約17℃の冷温処理を行ない出穂期に葯内花粉を調べたところ、金南風のほうがコシヒカリより大きな損傷を受けていた。また第12日苗に4℃の低温処理を6日間処理したところ金南風の多くは成長の回復を見たが、コシヒカリでは全て枯死した。また幼苗低温処理の場合、その損傷は根系とともに地上部の蒸散反応にも関係していた。さらに若い茎部の褐変化が枯死と密接な関連をもつことを明らかにした。
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[Publications] TAKEOKA,Y.: "Sexual dynamics of rice in response to the diverse environmental stresses." Crop production and improvement technology in Asia.KSCS,Korea. 419-430 (1993)
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[Publications] 和田富吉: "スパー樹脂切片の脱樹脂法による光学顕微鏡観察の一改良" 日作紀. 62. 128-129 (1993)
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[Publications] WADA,T.: "Light and electron microscopy of stem nodule development in Aeschynomene indica under induced condition." Proc.7th Internatl.Congr.SABRAO,Taipei,R.O.C.(in press).
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[Publications] TAKEOKA,Y.: "Panicles.In:Science of the plant.Vol.1 Morphology,III.Morohology and development of reproductive organs,Chapter 1" NOBUNKYO, 43 (1993)