1991 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子ファミリ-蛋白質の培養成熟ラット中枢コリン作動性ニュ-ロンへの作用
Project/Area Number |
03454160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠中 寛 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (60208519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 俊彦 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (20093362)
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Keywords | 神経成長因子 / 神経栄養因子 / 脳由来神経栄養因子 / 細胞生存維持 / 神経分化 / コリン作動性 |
Research Abstract |
脳神経系を構成するニュ-ロン群はその分化・生存維持に種々の拡散性の情報蛋白質群の影響を受けることが知られている。これらの蛋白質は神経栄養因子と呼ばれるが、本研究は、これらの蛋白質因子群が作用する場合に脳神経系の種々のニュ-ロン群の発達段階に応じて、特に成熟ニュ-ロンとなった後、老化して行く過程において、どの様にその作用の違いが生じるかについて、培養ニュ-ロンを用いて明らかにしようとするものである。本年度では、生後2週齢期のラット前脳基底野コリン作動性神経細胞に対するBDNFの生存維持作用について初代培養系を用いて検討した。BDNFはヒトBDNF遺伝子導入CHO細胞株培養上清より、陽イオン交換樹脂monoSを用い部分精製した。精製画分の生物活性は、ラット17〜18日胚前脳基底野神経細胞におけるアセチルコリン合成酵素(ChAT)活性誘導、および17日胚中脳カテコ-ルアミン作動性神経細胞の生存促進で測定した。また、抗NGF抗体を用いたウエスタンブロット解析も併せて行った。生後3日齢のラット前脳基底野コリン作動性神経細胞は胎仔期のもと同様に、BDNFによって容量依存的にChAT活性が誘導されたが、アセチルコリンエステラ-ゼ(AChE)陽性細胞の生存数には影響がなかった。しかし、細胞密度を低下させると、BDNFの生存促進作用が観察された。一方、生後2週齢期のラット前脳基底野コリン作動性神経細胞では、見かけのChAT活性の上昇を引き起こしているが、これは生存しているAChE陽性細胞数の多さで説明されることから、BDNFはの生存維持作用を示しているものと思われる。以上の結果から、シナプス形成初期の胎仔期から生後3日齢までと、シナプス形成終了期である生後2週齢の時期では、BDNFはNGFと同様に栄養因子作用を示すことが分かった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Hama: "Interleukinー6 improves the survival of mesencephalic catecholaminergic and septal cholinergic neurons from postnatal,twoーweekーold rats in cultures." Neuroscience,. 40,. 455-452. (1991)
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[Publications] T.Motoike: "Expression and localization of amg p25A,a ras p21ーlike small GTPーbinding protein,in cultured rat hippocampal cells." Neursci.Lett.,. 134,. 100-112. (1991)
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[Publications] Y.Kushima: "Culture of neuronal cells from postnatal rat brain:Application to the study of neurotrophic factors." Prog.NeuroーPsychopharmacol.& Biol.Psychiat.,. (1992)
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[Publications] 池内 俊彦: "神経成長因子(NGF)作用の分子機構" 蛋白質核酸酵素、. 36,. 1211-1219. (1991)
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[Publications] 畠中 寛、: "神経細胞死と神経栄養因子ー神経細胞死概論としてー" 代謝、. 28、. 891-899. (1991)
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[Publications] 榎戸 靖: "酸素毒性と神経細胞死ー培養中枢ニュ-ロンとPC12h細胞を用いたモデル系での解析ー" 代謝、. 28,. 923-931. (1991)
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[Publications] 畠中 寛: "神経成長因子ものがたり" 羊土社、東京, (1992)