1991 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス感染における多面的症因論の分子病理学的研究:特に活性酸素とブラジキニンの関与
Project/Area Number |
03454189
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 祐一郎 熊本大学, 医学部, 助手 (50215258)
安藤 正幸 熊本大学, 医学部附属病院, 助教授 (00040204)
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 講師 (20231798)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / ハウスダスト / ダニプロテア-ゼ / ブラジキニン / 環境因子 |
Research Abstract |
本年度の研究により、家ダニ(Dermatophagoides farinae)由来のセリンプロテア-ゼ(Dfーprotease)が、各一般家庭のハウスダスト中にその活性を残存した状態で存在し、その蛋白酵素比活性は、精製Dfーproteaseのほぼ0.14%〜0.45%であった。 さらに、Dfーproteaseのインフルエンザウイルスの増殖能に与える影響をin vitroにおいて検討したところ、本プロテア-ゼは、chick embryo fibroblastにおけるインフルエンザウイルスの多段階増殖能を著明に増強し、この比較性は、ウシ膵トリプシンの約4倍、ヒトプラスミンの約5倍であった。また、インフルエンザウイルスのSDSーPAGE解析により、Dfープロテア-ゼ及びハウスダスト中に含まれるプロテア-ゼが、HAを限定分解(HA_0→HA_1+HA_2)することが分かった。 以上の知見は、家庭内のハウスダスト中に存在するプロテア-ゼが、インフルエンザウイルス増殖促進能を有していることを示している。さらに、我々はDfーproteaseが、その強いキニン生成能により、著明な血管透過性亢進作用を発現することを見い出しており、インフルエンザウイルス増殖促進活性に加え、この様なキニン生成活性により、本プロテア-ゼが、インフルエンザウイルスの伝播、病態修飾因子として作用する可能性も示唆された。
|
-
[Publications] K.Maruo,T.Akaike,Y.Matsumura S.Kohmoto,Y.Inada,T.Ono and H.Maeda: "Triggering of vascular permeability reaction by activation of Hageman factorーprekallikrein system by house dust mite proteinase" Biochim.Biophys.Acta. 1074. 62-68 (1991)
-
[Publications] T.AKaike,et al.: "Is house dust mite protease an environmental determinant for transmission of influenza virus infection?" 143. 499- (1991)