1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454301
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 勝基 名古屋大学, 医学部, 講師 (90184647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (70154755)
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Keywords | 直流電流 / 通電療法 / フリーラヂカル / 白金電極 |
Research Abstract |
目的:固形腫瘍の直流の通電療法の臨床応用を行うための基礎的実験を行った。 方法:固形腫瘍モデルとして吉田肉腫1X10^6個を生後8週間目の雄呑竜ラット(体重300-350g)に皮内注射し,5日目に直径約12mm程の固形腫瘍になったところで,毎日1回Pentobarbital Sodium 0.5mg/kgI.P.inj.にて麻酔し,電流 0(Cont),0.5mA,1mA,3mAの4群設定で,白金電極をつかって,1時間/日,4日間連続通電療法を行った。1日おきに腫瘍径を測定した。さらにその効果のメカニスムを明らかする目的で治療効果の最も良かった1mAの通電療法群につき各々CV-3611(アスコルビン酸の誘導体)を2mg/kg/5ml Salineを胃管で通電2時間前に投与し、その効果をみた。さらに腫瘍の縮小の始まった新鮮標本よりDNAを抽出しWyllie等の方法によるアガール・ゲル電気泳動を行った。 結果:1.1mAの通電療法で腫瘍消失率80%以上を得ることが出来た。2.腫瘍が大きくなり過ぎたものは治療効果率が低下する。3.病理組織学的検討では効果の有るものでは,細胞が同心円状に或は帯状に壊死に陥って行く像が観察できた。4.SODの通電療法前の投与により,治療効果が抑えられると云う事実から,通電療法にフリーラヂカルの関与が考えられる。5.通電療法で腫瘍の縮小が始まった腫瘍細胞群のDNAのゲル電気泳動でラダーパターンが認め得ず,アポプトシスとは関係がはっきりしなかった。 考察:固形腫瘍に対する通電療法は極めて有望と考えられるが,そのメカニスムに関しては未だ不明な点が多い。局所のpHの変化や,局所の白血球の関与も考えられる。フリーラジカルの関与はこの実験で間接的にではあるが証明出来た。さらに臨床応用に関しては,この治療による副作用ははっきりしたもの無く,体重減少もない。
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