1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精漿中の精子運動抑制因子に関する研究:精子無力症の原因と治療法への応用
Project/Area Number |
03454390
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩本 晃明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60046117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00217069)
|
Keywords | 精子運動抑制因子 / 精子無力症 / 精嚢 / 精子 / dynein ATPase / 精漿 |
Research Abstract |
すでに私達はブタ精漿より精子運動抑制因子(Seminal plasma motility inhibitor以下SPMI)の分離精製に成功し、その分離能9.96、回収率18%であった。精製に要する日数は約2週間と比較的短期で行い得るが、その過程で50〜65%グリセロールを使用することからカラムのトラブルが多く再現性にやや乏しい点、また回収率が低値である点など問題点を有していた。今後のSPMIの研究において、精子運動を抑制する機序および生理学的役割を明らかにするには大量のSPMIを必要とすることから、より簡便で回収率が高い精製法の開発が望まれた。この1年間種々の試みを経て次のような方法を開発した。精嚢液が高濃度のSPMIを含んでいる事から、精嚢液からの精製分離を思いついた。先ず精嚢液をS-Sepharoseカラムに通し、SPMI活性fractionを集めC4逆相カラムを使ったHPLCにかけた。その結果分離能は12で、回収率30%と良好な結果であった。HPLCの第1番目のピークが、SDS-PAGEとブロッティングにて3つのバンドが得られ、精漿中SPMIと同様、分子量14K、16K、18Kのポリペプチドであった。今後これら3つのポリペプチドのそれぞれの抗体を作製中である。次に予備実験として精嚢液より精製したSPMIを使用し活発に運動する正常ブタ精子に対しての抑制効果及びその反応が可逆性であるかを観察した。除膜した精子の運動を抑制するのに必要なSPMI濃度を1Unit/mlとすると、細胞膜を有する正常精子の運動を完全にブロックするSPMIは約1500Units/mlを必要とした。この運動停止した精子をPercallにて洗浄したところ、その20〜30%の精子が運動を再開始した。このことからSPMIの作用機序は精子細胞膜に付着しsecond messengerがdynein ATP-aseの活性を抑制することにより運動がブロックされると考えられる。また精子無力症患者の精子細胞内抽出液がSPMIと同一のものか検討するため、精子を凍結保存中である。
|
Research Products
(1 results)