1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精漿中の精子運動抑制因子に関する研究:精子無力症の原因と治療法への応用
Project/Area Number |
03454390
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩本 晃明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (60046117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00217069)
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Keywords | 精子運動抑制因子 / 精子無力症 / 精漿 / 精嚢液 / 精子細胞抽出液 |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、容易に手に入り高濃度の精子運動抑制因子(Seminal plasma sperm motility inhibitor以下SPMIと略す)を含んでいるブタ精嚢液を用いて共同研究者の田中が開発して分離法にてSPMIを精製した。SDS-PAGEにて14,16,18kDの3つのバンドを分離しそれぞれのポリペプチドの抗体をウサギにて作製した。高力価のSPMI抗体が得られそれぞれの抗体の性質を調べたところおたがいに交差反応を認めた。このことから14,16,18kDのポリペプチドのアミノ酸配列に相同性があることが判明した。 2.SPMIの精子運動抑制機序を明らかにする一つの実験としてSPMIの精子運動に対する可逆性について検討した。SPMI蛋白を得るためにブタ精嚢液をS-SepharoseカラムにかけSPMIを分離後透析、凍結乾燥を行ったがSPMIの特異的活性をもつSPMI蛋白が得られなかった。すなわち透析、凍結乾燥の過程でSPMIの特異活性が失なわれてしまった。予備実験にてSPMIに対する精子運動の可逆性を観察しているが、大変残念であるが本年度内に再現することが出来ず、引き続きSPMI精製過程を検討しなければならない。 3.精子運動不良(精子無力症)患者の精子細胞内抽出液中に精子運動を抑制する因子が含まれていることがGagnonらにより予報されており私たちはこの因子がSPMIかどうか検討した。不妊症患者60例について除膜再付活したヒト精子を用いて精子運動の抑制因子が存在するかをみたところ運動率30%以下の症例では58%、30-60%では35%、60%以上の症例では27%に抑制因子を認めた。しかしながら本年度内にヒトSPMIの蛋白及び抗体が作製出来ずELISAまで行うことができなかった。今後この精子内の運動抑制因子がSPMIかどうか明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)