1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454393
|
Research Institution | Chiba Univ |
Principal Investigator |
高見沢 裕吉 千葉大学, 医学部, 教授 (60009107)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 誠 千葉川鉄病院, 部長
布山 隆史 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90228271)
関谷 宗英 千葉大学, 医学部, 助教授 (00092065)
藤村 真示 千葉大学, 医学部, 教授 (80143270)
|
Keywords | 卵巣癌 / 培養細胞株 / 無血清培地 / 増殖因子 / 蛋白分解酵素 / 浸潤・転移 |
Research Abstract |
〔目的〕癌の転移・浸潤機構の一部にはプラスミノーゲンアクチベーター(PA)をはじめとするタンパク分解酵素が関与し、その活性調節には、EGF、TGF-β等の細胞増殖因子が関わっているとの報告がある。我々はヒト卵巣癌細胞自身がPAを産生するか否かを調べ、その活性に及ぼすEGF、TGF-βの効果をin vitroで検討した。 〔方法〕3種のヒト卵巣癌細胞(HAC-2,HOC-21,OMC-3)を無血清培地中で継代培養可能にした。ここでは(1)これらの細胞培養上清(CM)またはTriton-X100処理細胞抽出液(CE)中のPA活性を合成基質S-2251を用いた比色法により測定し、さらに(2)増殖定常期にある細胞にEGF(10,100ng/ml)、TGF-β(0.5,5ng-ml)を添加し、24時間後のCM及びCE中のPA活性を無添加対照群と比較した。 〔成績〕 (1)3種細胞のうち、HAC-2細胞のみCM及びCE中にPA活性が認められ、特にCE中で強く、この活性は測定系にヒト胎盤由来ウロキナーゼインヒビター(UKI)を添加することにより阻害された。 (2)HAC-2細胞(CE)では、EGF添加により無添加群に比べ3-5倍の活性上昇が認められたのに対し、TGF-βを添加しても、CM及びCE中のPA活性は無添加群に比し、有意差を認めなかった。 〔結論〕 HAC-2細胞は、PA(特にウロキナーゼ)を自己産生しており、その合成の調節に、EGFが関与している。また、その活性は細胞外に分泌されるよりもむしろ細胞表面、または、細胞内において発現していると推定される。本研究では無血清細胞培養系においてPA活性を測定しており、血清由来のPAの混在を考慮する必要がない。従って本実験系は、卵巣癌の転移・浸潤機構解明のための有用なモデルになるものと考えられた。
|