1993 Fiscal Year Annual Research Report
第8神経病変における機能と形態の相互関連についての研究
Project/Area Number |
03454404
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小松崎 篤 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (50010195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英和 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50163556)
辺土名 仁 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50199452)
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Keywords | 聴神経腫瘍起源神経 / 聴力保存 / 内耳道拡大 / 内耳道骨硬度 / 炭酸カルシウム / 前庭感覚細胞 / 超微細形態 |
Research Abstract |
1.聴神経腫瘍の起源神経と手術術式の関連についての研究 近年、聴神経腫瘍は、機能検査、画像診断の進歩により早期に診断されるようになり、そのような症例では、聴力も良好に保存されていることが多い。従って、本症例の理想的な手術法としては、完全な社会復帰のみならず、顔面神経の保存、さらに聴力の良好な例については、聴力保存の努力がなされなければならない。聴力保存のためには、経中頭蓋窩法が用いられるが、腫瘍の起源神経が、下前庭神経由来の症例が90%以上あることから、経中蓋窩法で内耳道上方より到達すると、顔面神経、聴力共、障害を受ける可能性が強いため、聴力のモニタリングを聴性脳幹反応で行いながら、内耳道の上方から後方に削開を進め、後頭蓋窩を開放し、腫瘍摘出を行うことが聴力に関して、術後成績が向上することがわかった。 2.内耳道拡大の要因と骨内炭酸カルシウム含有量についての研究 内耳道拡大の要因については、現在のところ定説はないが、内耳道骨の硬度に部位の差がある可能性に着目し、炭酸カルシウムの含有量の差につき検討した。その結果、内耳道孔が内耳道底より含有量が少なく、これが、内耳道拡大、特に内耳孔付近の拡大が中央部の拡大より大なる原因の一つであると考察した。 3.第8神経病変の末梢感覚器についての形態学的研究 腫瘍症例よりえられた末梢前庭感覚器の超微細形態について研究を行い、内耳道内に腫瘍が存在し、温度眼振反応等の機能検査で、高度機能低下の症例でも、基本的に末梢感覚器の形態に著明な変化のないことから、将来、手術術式の改良により、機能保存の可能性がより大となることがわかった。
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[Publications] 佐藤 玲子: "小脳腫瘍症例の神経耳科学的考察" Equibrium Res. 52. 153-164 (1993)
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[Publications] 辺土名 仁: "骨量ファントムを用いた内耳道壁の骨塩量の測定" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 96. 609-616 (1993)
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[Publications] 内藤 永恵: "経過中に両側同時発症の突発難聴を呈した多発性神経鞘腫症の1例" 耳鼻咽喉科展望. 36. 607-613 (1993)
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[Publications] 角田 玲子: "外耳道温度と温度眼振検査の検討" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 96. 1933-1939 (1993)
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[Publications] 小松崎 篤: "疾患の病態・治療「聴神経腫瘍」" 日本耳鼻咽喉科学会会報. 96. 1986-1989 (1993)
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[Publications] Ichiro Morita: "Vestibular Sensory Epithelia in Patients with Acoustic Neurinoma." Acta Otolaryngol(Stockh). 114. 11-17 (1994)
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[Publications] 小松崎 篤: "耳鼻咽喉科・頭頚部外科MOOK" 金原出版, 193 (1994)