1992 Fiscal Year Annual Research Report
高齢無歯顎患者に適用する義歯裏装材のレオロジー的性質に関する研究
Project/Area Number |
03454449
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浜田 泰三 広島大学, 歯学部, 教授 (50034244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 比呂司 広島大学, 歯学部, 助手 (40229993)
石田 浩 広島大学, 歯学部附属病院, 助手 (20168230)
重頭 直文 広島大学, 歯学部, 助教授 (10136111)
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Keywords | 義歯裏装材 / レオロジー / ゲル化時間 / 組織調整 / 動的印象 / 暫間裏装 |
Research Abstract |
高齢化社会を向かえ、それに伴い高齢無歯顎患者の難症例、さらに在宅の寝たきり老人や入院中の動けない患者も増加している。このような難症例患者には義歯裏装材の使用は不可欠であり、形態的機能的に適合した義歯を作製することが必要になってくる。そこで本材の理工学的性質の中で、特に臨床効果に影響を及ぼすと考えられるレオロジー的性質や寸法変化について検討し、以下の結果を得た。 1.裏装材のゲル化時間は粉末分子量、エタノール含有量、粉液比および可塑剤の種類などによって広範囲に調節が可能である。 2.本材を組織調整に用いる場合、流動性が高く、その経時的変化が少ないことが適切な性質であり、粉末ポリマー分子量を小さくし、エタノール含有量を少なくする必要がある。動的印象に用いる場合、初期においては流動性が高く、印象撤去時では、流動性が減少することが適切な性質であり、粉末ポマリー分子量を小さくし、エタノール含有量を多くする必要がある。また暫間裏装に用いる場合、流動性は低く、その経時的変化は少ないことが適切な性質であり、粉液比、粉末ポリマー分子量を大きく、エタノール含有量を少なくする必要がある。 3.本材は経時的にゲル化に伴う収縮が認められた。その収縮はエタノールの溶出が関係しており、粉末粒径および溶液のエタノール含有量が大きな影響を及ぼしていた。 以上の結果より粉末、液の化学組成および構造的因子を調節することにより、各用途(組織調整、動的印象、暫間裏装)に適するよう義歯裏装材のレオロジー的性質をコントロールできる可能性が示唆された。
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[Publications] H.Murata: "Viscoelastic properties of tissue conditioners ーStress relaxation test using Maxwell model analogyー" J.Oral Rehabil.17. 365-375 (1990)
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[Publications] H.Murata: "Initial flow of tissue conditioners ーinfluence of composition and structureー" J.Oral Rehabil.20. (1993)
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[Publications] H.Murata: "Viscoelastic properties of tissue conditioners ーinfluence of ethyl alcohol content and type of plasticizerー" J.Oral Rehabil.
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[Publications] 村田 比呂司: "義歯裏装の基礎と臨床" 歯界展望(臨時増刊). 79. 1266- (1992)
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[Publications] S.Murakami: "Shrinkage of tissue conditioners ーeffect of the particle size in powder and the EtOH content in liquidー" J.Oral Rehabil.19. 513-520 (1992)
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[Publications] 村田 比呂司: "Tissue conditionerの初期流動性ーゲル化特性およびゲル化に及ぼす粉液比の影響ー" 広大歯誌. 25. (1993)
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[Publications] 浜田 泰三: "義歯の裏装" 日本医療文化センター, 207 (1991)