1991 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞の遺伝子発現調節機講とその骨形成過程における生理的、臨床的意義
Project/Area Number |
03454468
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長山 勝 徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 裕士 徳島大学, 歯学部, 助手 (60225670)
滝下 幸夫 徳島大学, 歯学部, 助手 (30226964)
平岩 清貴 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (30173214)
力丸 浩一 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (40220800)
|
Keywords | 骨芽細胞 / 石灰化 / Mineralized Nodule / サイトカイン / PDGF / リン酸化 / 遺伝子発現調節 |
Research Abstract |
本年度の研究業績は以下のように要約される。 まず、われわれは骨芽細胞の石灰化の定量的分析を行うため、ラット骨髄間質細胞を用いて骨原性細胞の分化し得る安定した培養系の確立を試みた。骨髄組織の培養下に得られたMineralized nodule(M.N.)につきその定量を行うとともに組織学的、免疫組織化学的に検索を加え、さらにM.N.中の無機物をX線微小分析、電子線回折等により検討し、以下の結果を得た。1)10nMのデキサメサゾン存在下でβーグリセロリン酸を含まない培養条件においてもM.N.が形成された。2)培養液中に5mM以上のβーグリセロリン酸を添加するとM.N.の形成が促進された。3)M.N.の内部には強いアルカリ性ホスファタ-ゼ活性を有する骨芽細胞あるいは幼若な骨細胞に類似した細胞が存在し、その細胞外基質はおもにI型コラ-ゲンからなっていた。4)M.N.の石灰化はin vivoでの正常の石灰化過程と類似していた。次に、骨芽細胞の増殖に及ぼすサイトカインの影響を細胞数および ^3Hチミジンの取り込みを指標に検索した。種々のサイトカインの中で骨折の治癒機序など骨代謝系への関与が推察されている血小板由来成長因子(PDGF)に着目し、ヒト顎骨より分離培養した骨芽細胞様細胞に及ぼす本成長因子の影響を検討し、さらにPDGFレセプタ-を含めた細胞内蛋白質のリン酸化との関連を検討した。その結果、PDGFは細胞数からもDNA合成能からも本細胞の増殖を促進することが明らかとなった。また、この増殖機構にPDGFレセプタ-の持つチロシンキナ-ゼ活性とそれによるレセプタ-のチロシンリン酸化、および細胞内蛋白質のリン酸化が関与している可能性が示唆された。現在、骨芽細胞の石灰化に際して起こる遺伝子発現の変化をfos、mycなどをプロ-ブとしたノ-ザンハイブリダイゼ-ション法にて研究を進展させている。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Kazuhito SATOMURA: "Mineralized nodule formation in rat bone marrow stromal cell culture without βーglycerophosphate" Bone and Mineral. 14. 41-54 (1991)
-
[Publications] Kazuhito SATOMURA: "Ultrastructure of Mineralized Nodules Formed in Rat Bone Marrow Stromal Cell Culture in vitro" Acta Anatomica. 142. 97-104 (1991)
-
[Publications] 中西 宏彰: "ヒト顎骨由来骨芽細胞様細胞の増殖におよぼす血小板由来成長因子の影響" 四国歯学会雑誌.