1991 Fiscal Year Annual Research Report
合成オリゴペプチドを用いたTSH受容抗体の免疫測定法の開発と臨床応用
Project/Area Number |
03454506
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
網野 信行 大阪大学, 医学部, 助教授 (60028694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 薫 大阪大学, 医学部, 助手 (80216655)
岩谷 良則 大阪大学, 医学部, 講師 (60168581)
玉置 治夫 大阪大学, 医学部, 講師 (20221400)
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Keywords | TSH受容体 / 自己抗体 / 受容体抗体 / バセドウ病 / オリゴペプチド |
Research Abstract |
ヒトTSH受容体はLH、FSHの受容体と同じように7回細胞膜を貫通するGタンパク質結合性の受容体に属する。その全長は745個のアミノ酸からなり、394個のアミノ酸からなる細胞外部分、268個のアミノ酸からなる細胞膜貫通部分、そして83個のアミノ酸からなる細胞内部分の3つの領域に分けられる。今回細胞外ドメインをブタLH受容体のそれと比較しヒトTSH受容体に特徴的な部分がTSH受容体抗体の結合において重要と考え、9カ所のアミノ酸配列領域を選定し、21個から33個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを合成した。これら9種のオリゴペプチドを用いてTSHおよびTSH受容体抗体との反応について検索し、以下の結果を得た。 1.免疫沈降法により、合成オリゴペプチド9種のうち1種(hTSHR 06)(30A.A.;No.161ー190)でバセドウ病患者血清と有意に高い結合を示した。その程度と患者血清のラジオレセプタ-アッセイまたはバイオアッセイで測定した受容体抗体活性との間には相関はみられなかった。 2.ELISA法により、2種の固相化オリゴペプチド(hTSHR 01)(30A.A.:No.639ー668)、(hTSHR 07)(33A.A.;90ー122)とバセドウ病患者血清との間で特異的結合が確認され、特に細胞膜貫通部分のル-プ状構造領域に相当する前者の結合が顕著であった。 3.FRTLー5細胞を用いて調べたhTSHの生物学的活性に対し、今回使用したオリゴペプチドはすべて影響を及ぼさなかった。 以上の結果から、合成オリゴペプチドを用いた検索により、ある部分がTSH受容体抗体のTSH受容体への結合に関与することが示された。今後さらに受容体の高次構造も配慮した検討が重要であると思われた。
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