1992 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞の増殖機構ー骨髄微小環境による調節機構ー
Project/Area Number |
03454525
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
河野 道生 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (40161343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
田辺 修 広島大学, 医学部, 助手 (70221398)
|
Keywords | 骨髄腫 / 骨髄腫細胞 / 接着分子 / インテグリン / 骨髄ストローマ細胞 / 前駆細胞 / モノクローナル抗体 / セルソーター |
Research Abstract |
前年に引き続き、骨髄腫患者の骨髄穿刺液より分離した骨髄腫細胞の細胞表面における接着分子の発現をフローサイトメーターで調べた。骨髄腫細胞はCD44+VLA-4+VLA-5-の未熟骨髄腫細胞と CD44+VLA-4+VLA-5+の成熟骨髄腫細胞に分けられることを確認した。セルソーターを使用して各細胞亜群を分取し、それぞれの細胞形態、in vitro増殖能及びM蛋白産生能を調べた。この結果は前述の未熟および成熟骨髄腫細胞の考えを支持するものであった。骨髄ストローマ細胞(株)に強く接着するVLA-5+成熟骨髄腫細胞は、更にVLA-5+MPC-1-とVLA-5+MPC-1+の細胞へ分けられる。後者はより強く骨髄ストローマ細胞と接着する。このことは、骨髄腫細胞株KMS-5のVLA-5+MPC-1+細胞亜株がVLA-5+MPC-1-亜株よりも強く骨髄ストローマ細胞(株)に接着したことより実証された。この接着現象は抗VLA-5およびMPC-1抗体で抑制された。つまり、成熟骨髄腫細胞は未熟骨髄腫細胞より分化した細胞であり、増殖能に乏しいが逆にM蛋白産生能は高い。成熟骨髄腫細胞への分化に骨髄ストローマ細胞との接着が必要なのか、逆に分化した成熟骨髄腫細胞が骨髄ストローマ細胞へ結果として接着するのかは不明である。いずれにせよ、成熟骨髄腫細胞と骨髄ストローマ細胞との接着にVLA-5とMPC-1分子とが必要とされるようである。尚、MPC-1抗体を使用してイムノスクリーニングによりMPC-1遺伝子クローニングを行なっている。
|
-
[Publications] 原田 浩徳: "セルソータによる前駆骨髄腫細胞の分離とその性状" Cytometry Research. 3(Suppl.). 67-73 (1993)
-
[Publications] Harada.H.: "Phenotypic difference of normal plasma cells from mature myeloma cells." Blood. (1993)
-
[Publications] Kawano M.M.: "Identification of immature and mature myeloma cells in the bone marrow of human myelomas." Blood. (1993)
-
[Publications] 河野 道生: "形質細胞の増殖と腫瘍化" 臨床医. 18. 181-185 (1992)
-
[Publications] 河野 道生: "形質細胞増殖性疾患とサイトカイン" 臨床血液. 33. 999-1011 (1992)
-
[Publications] 原田 浩徳: "造血器腫瘍のオートクラインとパラクライン増殖" Oncologia. 25. 663-671 (1992)
-
[Publications] 河野 道生: "多発性骨髄腫とサイトカイン" 現代医療. 25. 548-555 (1993)
-
[Publications] 河野 道生: "サイトカインと疾病(編集・笠倉新平)分担" 日本医学館, 190 (1992)