Research Abstract |
各種鉱物のうち,工業的利用の観点から最重要と思われるもの数十種を選び,それぞれを99%以上の純度に試料調製ののち,本迅速・精密試験法により粉砕性の測定を開始した。 1.石膏,石灰石,ガラス,黄鉄鉱,炭化珪素の5物質は,高純度のものが大量に得られ,砕けやすさにも開きがあるので,これらを対象にJIS法(試料量10kg)による粉砕仕事指数Wi(kwh/t)と本法(試料量5g)による粉砕性指数aの測定を行った。Wiが小さいほど,またaが大きいほど,その物質は砕けやすいことを示す。各物質のWiは順に8.1,18.9,18.1,8.9,27.8,aは順に5.30,2.15,1.44,1.64,0.31となった。Wiとaの相関係数は-0.79である。両者の相関度がこの程度にとどまるのは,本法の粉砕粒度が45μm以下で,物質の真の粉砕性つまり結晶粒子内のそれが再現できるのに対し,JIS法の粉砕粒度は150μm以下であるため,結晶粒子間の粉砕性の影響を受けることが示唆された。 2.セラミック原料鉱物9種のaの測定を実施した。その値は滑石3.36,曹長石1.63,石英1.29,ジルコン0.39,苦土カンラン石0.39,石墨0.83,ドロマイト1.91,ラン晶石0.94,マグネサイト3.07である。 3.今後の展開としては,上記1の試料群のJISハ-ドグロ-ブ指数HGI(試料量50g)を測定する。HGIの粉砕粒度は75μm以下であるので,本法で求めたaとの相関係数がWiの場合より高くなることが期待される。HGIからWiを間接的に求める方法は,Bond氏らにより提案されている。従って期待どうりの結果が得られれば,重要鉱物数十種の正確な粉砕性指数を僅か5gで測定できた上,a-HGIおよびHGI-Wiの関係式を用いて,国際的に知られている粉砕性尺度であるWiを,aの値から算出することが可能となるであろう。
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