Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 哲造 金沢医科大学, 胸部心臓血管外科, 教授 (40150221)
鬼頭 義次 国立循環器病センター研究所, 病院・心臓外科, 部長
赤城 治彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (90231802)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
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Research Abstract |
昨年度迄の検討で,流入出部に配したプッシャープレイト型人工心臓間に円柱型人工肺を組み込んだ一体型心肺補助装置の設計・試作を行い,in vitroおよびex vivoの灌流実験にて問題点の検討・改良を試みた。昨年度の改良で,ポンプ特性では,ほぼ満足すべき性能を有する試作器の開発に成功したが,人工肺部のガス交換能および圧力損失では,なお目標性能の達成に至ず課題を残した。そこで本年度は,1)中空糸配列および2)ガス交換膜面積の再検討を行い,加えて3)デバイス内面の抗血栓性処理に関しても検討を進めた。中空糸配列に関しては,一層ごとの中空糸が互いに直交する井桁状配列を取っていたが,人工肺部での圧力損失が極めて大きくなるため簾状配列に改めた。またガス交換膜面積は,昨年度の1.0m^2でも成人での必要性能には不足であったため,本年度は更に1.5m^2迄増大させた。結果,人工肺部での圧力損失は,血流量1 L/min当たりで10mmHg以下と低値に抑えられ,ポンプ駆出特性も駆動陽陰圧250/-85 mmHg,拍動数60〜70bpm,%systole=40%の設定にて,7.0 L/minの最大拍出量が得られた。またガス交換能(血流量=5 L/min)でも,昨年度の酸素=200 ml/min,炭酸ガス=150 ml/minから,酸素=300 ml/min,炭酸ガス=250 ml/minと著明な改善を認め,ポンプおよびガス交換能何れにおいても成人用心肺補助装置としての基本性能を満足するに至った。そこで60kgの成山羊を用いて心肺停止モデルを作成し,本試作器を用いての心肺機能の完全代行を試みたが,6時間の灌流中,動脈血酸素分圧は476〜578 mmHg,炭酸ガス分圧は21〜28mmHg,アシドーシスの進行も見られず,実験動物の心肺機能が良好に代行できた。ヘパリン処理法に関しては,昨年度迄に確立した分子設計に基づいて既存の人工肺を処理し,山羊を用いた12時間のヘパリンレスECMO(n=12)にて抗血栓性の評価を行なったが,個体間のバラツキが未だ大きく,今後に課題を残した。
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