1991 Fiscal Year Annual Research Report
熱感受性マイクロカプセルを用いた癌温熱療法用ドラッグデリバリ-システムの開発
Project/Area Number |
03557063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山室 隆夫 京都大学, 医学部, 教授 (00088527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
平岡 真寛 京都大学, 医学部, 助教授 (70173218)
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Keywords | 癌温熱療法 / ドラッグデリバリ-システム / 熱感受性リボソ-ム / 徐放剤 / マイクロカプセル |
Research Abstract |
加温後5分以内にほぼ全量の含有シスプラチンを放出する熱感受性リボソ-ムを単純にポリ乳酸で包めばシスプラチンの徐放化が可能と考えられた。しかし、この場合リボソ-ム量1に対しポリ乳酸を3倍量加えないといけないため徐放剤のシス阜ラチン含有量が少なくなりすぎて実用的でないという、実験結果となった。また、単層によるリボソ-ムのコ-ティングも温度感受性は鋭敏ではあるが、皮膜が弱いため長時間の体温に近い温度での薬剤保持は困難であることが解った。 まず薬剤の含有率を上げるためにゼラチンにシスプラチンを封入し、これをdipalmitophosphatidyl choline(DPPC)で数層コ-ティングした上にポリ乳酸で2重にコ-ティングを行った。その結果、徐放剤のシスプラチン含有率は1.2%と改善し熱感受性リボソ-ムより高いシスプラチンの含有率が得られた。この製品を生理食塩水に10mMのTris bufferを加えた液に溶解し36、38、40、42度の温度で加温した結果、38度までのシスプラチン放出量に比べて40度から20%シスプラチン放出量が増加するという温熱療法に適した熱感受性が得られた。しかし、まだ初期バ-ストによる早期のシスプラチン放出量が多く、しかも1時間程度の加温時の薬剤保持効果しか得られていないため、ポリ乳酸コ-ティング膜を厚くすることにより特性を改善中である。
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[Publications] 大浦 好一郎: "癌温熱療法用発熱する生体活性結晶化ガラスの開発" Journal of Applied Biomaterials. 2. 153-159 (1991)
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[Publications] 大浦 好一郎: "磁性体加温用ギャップタイプRF誘導加温装置の開発" International Journal of Radiation Oncology Biology・Physic. 21,増刊1. 117-118 (1991)
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[Publications] 池永 稔: "生体活性磁性結晶化ガラスによる実験的骨腫瘍の温熱治療" Proceedings of the 4th International Symposium on Ceramics in Medicine. 255-262 (1991)
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[Publications] 杉本 由仁: "ガン温熱療法用Fe-Pt発熱体の開発" 住友金属. 43. 16-23 (1991)
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[Publications] 光森 通英: "磁性粒子を利用した組織内加温の試み" Proceedings of the 8th Annual Meeting of the Japanese Society of Hyperthermic Oncology. (1991)