即時型アレルギー反応の解析に有用なミュータントラットの開発

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03558010
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松田 浩珍 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80145820) ; 西村 正彦 浜松医科大学, 助教授 (20073661) ; 春日井 務 大阪大学, 医学部, 助手 (80214310)
• Keywords: マスト細胞 / 即時型アレルギー / マスト細胞欠損ラット / ベージュラット / c-kitレセプター / stem cell factor / 突然変異ラット

Research Abstract

マスト細胞を欠損するWs/Wsラットを実験動物として改良し、用途を広げるためには、Ws突然変異遺伝子を近交系ラットに導入し、さらにSPF化することが望まれてきた。本研究の最終年度である本年度になって、この目標にかなり近ずいた。西村は種々のラット近交系にWs突然変異遺伝子の導入をはかってきたが、このうちDAラットに導入した場合、ホモ固体が得られることがわかった。DAラットはbg突然変異が浜松医大で出現した近交系でもあるので、DAを遺伝的背景としてWs/Wsとbg/bgが得られることになり、将来大変有用であると考える。また、日本エスエルシーによりDA-Ws/+ラットのSPFが行われることになったので、近い将来SPF化されたDA-Ws/Wsラット、DA-bg/bgラットが市販される可能性が強い。Ws/Wsラットの生物学的特性についても研究を進め、以下の諸点が明らかになった。1)Ws/Wsラットと正常対照(+/+)ラットの骨髄細胞をインターロイキン3の存在下で培養して培養マスト細胞を得、その特性をしらべた。Ws/Ws培養マスト細胞は、+/+培養マスト細胞に比べ、Ws遺伝子座がコードするc-kitレセプターチロシンキナーゼのリガンドであるstem cell factor(SCF)に対する反応性が著明に劣っている。実際、Ws突然変異遺伝子によって造られたc-kit蛋白質のカイネース活性を測定してみると、著明に低下していたが、ごくわずかの活性が残存していた。Ws/Ws培養マスト細胞が高濃度のSCFに反応するのは残存するカイネース活性によるように考えられた。2)Ws/Wsラットは出生から離乳まで高度の貧血を示すが、離乳後は貧血が改善する。この貧血改善の機構をしらべた。3)Ws/Wsラットの皮膚はアルシアンブルーで染色されるマスト細胞を欠損するだけでなく、IgEに対するレセプターを発現している細胞も欠損していた。

Research Products

• [Publications] Onoue,Hitoshi: "Absence of immature mast cells in the skin of Ws/Ws rats with a small deletion at tyrosine kinase domain of the c-kit gene" American Journal of Pathology. 142. 1001-1007 (1993)
• [Publications] Kasugai,Tsutomu: "Infection of N.brasiliensis induced normal increase of basophils in mast cell-deficient Ws/Ws rats" Blood. 81. 2521-2529 (1993)
• [Publications] Arizono,Naoki: "Infection of N.brasiliensis induces development of mucosal-type but not connective tissue-type mast cells in Ws/Ws rats" Blood. 81. 2572-2578 (1993)
• [Publications] Morimoto,Masahiro: "Age-dependent amelioration of hypoplastic anemia in Ws/Ws rats with a small deletion at the kinase domain of c-kit" Blood. 82. 3315-3320 (1993)
• [Publications] Tei,Hideki: "Characterization of mast cells derived from Ws/Ws mast cell deficient rats with a small deletion at kinase domain of c-kit" Blood. 83. 916-925 (1994)
• [Publications] Kitamura,Yukihiko: "Development of mast cells and basophils:processes and regulation mechanisms" American Journal of Medical Sciences. 306. 185-191 (1993)
• [Publications] Kitamura,Yukihiko: "Immunopharmacology of Mast Cells and Basophils" Academic Press,London, 232 (1993)
• [Publications] Kitamura,Yukihiko: "Biology of Germ Lines in Animals and Man" Japan Scientific Societies Press, 304 (1993)