1992 Fiscal Year Annual Research Report
生鮮調理素材の潜在機能を生かす新しい凍結濃縮技術の開発
Project/Area Number |
03558014
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
中浜 信子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (90060590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 一男 キューピー(株), 研究所, 主任研究官
新井 映子 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (90134783)
渡辺 道子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90107409)
粂野 恵子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (20186480)
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Keywords | 凍結濃縮 / 氷核細菌 / 濃縮牛乳 / 高圧処理 / ゲル化 / ミルクゼリー / ゲル強度 / 粘弾性率 |
Research Abstract |
凍結濃縮は、生鮮な状態を保ちながら濃厚な溶液にする方法である。この技術思想は以前からあったが、氷の結晶を作るのに有効な核(氷核)となる物質が開発されていないため、-10℃あるいはそれ以下にまで冷却しないと凍結が起こらず、実用化はされていなかった。当該研究グループは、茶畑や果樹園に生息し、霜害の原因となる氷核細菌がきわめて強い氷核活性を持ち、-2℃くらいで凍結を誘起することを見出し、生鮮素材が潜在的にもつ栄養,物性,香味の特性を損なうことなくこれを濃厚化する上にこの微生物の氷核活性の活用がきわめて有効であるという見通しをもつに至った。本研究は、氷核細菌を超高圧殺菌してから利用するというさらに新しい技術思想を加味した上で、生鮮素材を凍結濃縮する方法を確立することを目的とした。 1.氷核細菌Xanthomonas compestrisの氷核を用いて牛乳を凍結濃縮し、固形分25%の凍結濃縮乳を得、さらに高圧処理を施すことにより、pHを下げずにゲル化剤を使用しない新規のミルクゼリーを作製することができた。 2.原料としては市乳より生乳の方がゲル強度,粘弾性率の高いゲルが得られ、凍結乾燥乳や全粉乳を用いたものではゲル化しなかった。得られたゲルは非常にゲル強度の低いゲルであったが、蔗糖を10%添加することにより自重で形を保つしっかりとしたゲルとなった。30%以上の蔗糖添加ではゲル化しなかった。 3.高圧処理条件(5℃,5分)の圧力による変化では、300MPaではゾルの状態で400MPaでゲル強度の低いゲルとなり、500,600MPaでしっかりしたゲルとなった。 4.得られたゲルはゼリー状の弾力のあるものであり、ゲル化剤を使っておらず、また加熱していないためつやがあり新鮮なフレーバーを保っており、官能検査結果からもミルク風味が強くおいしいと評価された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Michiko Watanabe: "Isolation and cultivation of a novel ice nucleation-active strain of Xanthomonas campestris." Biosci.Biotech.Biochem.,. 57. (1993)
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[Publications] Kazuo Honma: "High-pressure sterilization of ice nucleation-active Xanthomonas campestris and its application to egg processing." Biosci.Biotech.Biochem.,. 57. (1993)
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[Publications] Keiko Kumeno: "Production and Characterization of a Pressure-induced Gel from Freeze-concentrated Milk." Biosci.Biotech.Biochem.,. 57. (1993)