1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03559004
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
毛利 明博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10025926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 壮一郎 三菱電機(株), 中央研究所, グループマネージャー
川瀬 洋一 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60027448)
田中 仁 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90183863)
道下 敏則 京都大学, 総合人間学部, 助手 (00166050)
湯山 哲守 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90026815)
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Keywords | LINAC / 低速陽電子 / 熱化陽電子 / 電子ビーム / 非熱化陽電子 / 磁場ダクト / 貴ガス氷薄膜 / 減速材 |
Research Abstract |
本試験研究の最終年度であるので、最終まとめのための研究を以下のように行った。 (i)LINACによる陽電子の生産効率の向上 X線照射でW内に対創生した陽電子の中で熱化しないで表面より放出する非熱化陽電子も熱化陽電子と同時に引き出すことを試みて、格段に大きな発生率を実現することが可能になった。用いているLINACの電子ビームエネルギーは30MeVと低いけれども、大表面積のW薄板を用いて発生する低速(<3keV)陽電子のビームは、照射時間中での発生率:2X10^<13>[e^+/s]に達した。 (ii)非熱化陽電子はエネルギーに広がりがある。これを再減速して低エネルギー陽電子に変換するためには、効率のよい減速器が必要となる。本研究では、低温の金属面に形成されるXe、Ar、N2ガスの氷薄膜を減速材に用いた。減速効率は最大で8%に達し、特にいままで報告されていないN2の氷が有効であることを見いだした。減速材にW結晶を用いる場合等に比して、任意の大表面の減速材が実現出来るわけである。 (iii)減速した陽電子を利用するためには、それを蓄積することが必要である。ペニングトラップを用いる方式で、減速した陽電子を閉じ込め、LINACの1ビームパルス当り3X10^5個の陽電子をため込んだ。多パルスの溜込みも試みたが、閉じ込めの時間が10msと短いため、溜込み粒子数の増大は今のところ大きくはない。 (iv)陽電子ビームの輸送に用いる磁場ダクトの磁場強度の移送効率に対する効果を実験的にも確かめ、高エネルギー成分を移送するには、磁場は200Gは必要である。 ☆以上の試験研究の結果より、当初計画した、低速陽電子の発生率10^<14>[e^+/s]を実現する方式は可能であり、その装置設計をするために必要な資料および検討はほぼ完了した。
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[Publications] 湯山哲守: "LINACを用いた陽電子の発生" 京都大学原子炉実験所第27回学術講演会報文集. 1-6 (1993)
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[Publications] 道下敏則: "陽電子の電磁閉じ込め" 京都大学原子炉実験所第27回学術講演会報文集. 7-10 (1993)
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[Publications] 毛利明博: "固体キセノン薄膜を用いた陽電子の減速" 京都大学原子炉実験所「放射線誘起構造変化(IV)」KURRI-TR-383. 10-14 (1993)
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[Publications] 田中仁: "Sloco Positron Production with a Modular Photon-Positron Converter Attached to a High Current LINAC" Japanese Journal of Applied Physics. 31. 4029-4036 (1992)