1991 Fiscal Year Annual Research Report
近世海運の年次別動向に関する研究ー紀伊尾鷲海運の実態分析を中心にー
Project/Area Number |
03610163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 信夫 東北大学, 文学部, 教授 (60004032)
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Keywords | 近世海運 / 地域海運 / 紀伊海運 / 御城米船 / 西廻海運 / 東廻海運 |
Research Abstract |
近世海運は大坂・江戸を基軸とする二大海上輸送系統の下に、これに地域海運が加わる重量的な構造をもって展開した。本研究はこの重量的海運構造を紀伊海運に焦点をおき、その実験的解明を行うものである。本年度はこの目的をもつて三重県尾鷲市立図書館所蔵の尾鷲組大庄屋記館、同須賀利浦記館の未調査未収集分の調査研究に重点をおいた。延べ12日間に及ぶ調査で未調査未収集分の史料をマイクロフィルムに収めることができた。その数量は増大で番皆調査をほぼ完了することができた。二年度に完全に終了させる予定定である。 これまで収集史料の調査分析を行っているが、その研究の結果、大阪・江戸間海運のみならず、日本海沿岸、西日本各地と江戸との間の海運の動向、伊勢湾運航をはじめとする東日本各地の廻船の西日本への進出状況、地元紀伊廻船の動向など進出海運の更量は構造および地域間変性の実態について新たな知見を得ることができた。第一点は日本海海運、瀬戸内海運を通って江戸に廻漕される幕府御城半の廻搬船は大坂はじめその周辺国の廻船であること。このことは、大坂・江戸間海運に慣れた廻船が大坂その周辺国の廻船であることを示している。日本海海運の廻船は近世後期になっても日本海および瀬戸内海を主要舞台としていることが確認できた。西廻海運はこのような地域海運の複合的海運があること、江戸を廻着地とする東廻海運の分析を加えて、近世海運の構造をより明確にする手掛りを得たと考える。
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Research Products
(1 results)