1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610166
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
君島 和彦 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80111623)
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Keywords | 満州 / 「満州国」 / 関東軍 / 関東軍特種演習 / 満鉄(南満州鉄道株式会社) / 満州産業開発五ヶ年計画 / 満業(満州重工業開発株式会社) / 満鉄調査部 |
Research Abstract |
本年度は研究の第1年度に当たるので,おもに研究の整理と資料の収集,さらに各地を訪問しての資料収集・見学や研究者との懇談による視点の深化などに全力をつくした。資料の収集に関しては,満州国の経済建設に関する資料では刊行されている資料を中心に多くの図書を購入した。近年,満洲国や満鉄に関する資料の複刻・刊行が盛んで,内部資料をはじめ貴重な非公開資料が刊行されている。それらによれば「満州国」での政策立案過程や「5カ年計画」実施過程での満鉄のはたした役割などが具体的にわかるようになった。また関東軍関係では砲兵隊関係の貴重な資料を入手できたので,関東軍での軍事知識の教育方法などを通して関東軍の満洲認識などが明らかになりつつある。そのほか関東軍関係の図書も購入した。研究の整理としては,太平洋戦争期の満洲に関する研究に限定してしまうと研究はあまり多くないので,かなり広い範囲で研究史の整理をしなければならず,必ずしも充分に整理してきれていない。だが謝金を使って図書整理ができたので比較的能率的におこなえた。関東軍特種演習への参加部隊の確定とその師団に関する研究など地方的レベルの研究まで見ていければ研究史があるはずなのでその点を追求していきたい。また今年は満州国支配で重要な役割をはたした後藤新平関係の資料をマイクロフィルムで収集したり,記念館のある水沢に調査にいったり,盛岡の原敬記念館で現物の展示物を見ることができた点も有益であった。さらに年度末に沖縄に調査にいって海外渡航者の多い沖縄と満洲への移民との係わりについて現世の研究者と懇談したり調査ができた点も今後の研究への視点を鍛えるためにいっそう有益であった。今年は研究の準備を深めることができたが,それによって今後どのような資料の収集と検討が必要かが明確になったといえる。次年度の課題がより一層明らかになった。
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