1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03630031
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々波 楊子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (30051288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (10185085)
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Keywords | サ-ビス貿易 / 企業の設立 / 海外直接投資 / 対欧直接投資 / 経営サ-ビスの輸出 |
Research Abstract |
サ-ビス貿易は消費者の移動や企業の設立(直接投資)を伴う貿易取引を含む。従って国際収支統計のうち、直接投資にかかわる統計の整備が本研究の遂行にあたっての急務である事を痛感した。発表論本〔佐々波〕(3)は日本の対欧直接投資を把握するにあたって、日銀、大蔵省、JETRO、通産省等の既存の直接投資統計が、それぞれどのような長所(もしくは短所)をもち、サ-ビス貿易の実証分析を行う際に留意すべき問題点を指摘した。また当論文においては対欧直接投資(1951ー89)の47%は金融保険部門に集中していることが明らかになった。日本の国際収支統計が金融サ-ビスの輸出入のうち直接投資によって生じる配当金受取や事務所経費ぐらいしか計上していないことは、同統計をもちいての実証分析が波及効果を過少評価する可能性がきわめて強いことを裏づけてるかたととなった。〔浦田〕はサ-ビス貿易統計に関する主要文献のサ-ベイを行い、サ-ビス貿易の統計が国際的にどのような問題点をかかえているかを明らかにした。ここでも要素移動を伴うサ-ビス貿易の把握とその定義の国際的整合性の有無が指摘された。またサ-ビス貿易のうちサ-ビス部門にわける海外直接投資が対欧直接投資のなかで大きな比重をしめ、製造業部門における現地販売の促進に、アフタ-サ-ビスの提供、消費者金融の支援といったかたちで密接に結びつけていることが佐々波(3)の分析において明らかになった。海外直投資を経営サ-ビスの輸出と考えるならば、日本とアジアとの財貨貿易の拡大についてもかかるサ-ビスの輸出は大きな関わりをもっている。発表論文〔浦田〕(3)の分析は直接投資を通じて、アジア各国に形成される生産工程別特化は、規模効果にもとずく効率性の高い分業を可能にし、コスト低下という便益を通じて消費者と生産者に利益をもたらす。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 佐々波 楊子 1: "サ-ビス貿易の自由化とは何か" 貿易と関税. 1月号. 46-51 (1988)
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[Publications] 佐々波 楊子 2: "サ-ビス貿易問題とGATT" 貿易と関税. 3月号. 53-58 (1990)
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[Publications] 佐々波 楊子 3: "“Determinants of Japanes Foreign Direct Investment"ーLocational Attractiveness of Europcan Countries to Japanese Multinationalsー" Revue Economique Special Issue. (1992)
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[Publications] 浦田 秀次郎 1: "“Sources of Economic Growth and Structural Change in China 1956ー81"" Journal of Comparative Econmics. Vol.11,No.1. 96-115 (1987)
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[Publications] 浦田 秀次郎 2: "一般均衡モデルの実証分析への応用:CGEモデルの発展過程と現状" 三田経済雑誌. 83巻2号. 213-238 (1990)
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[Publications] 浦田 秀次郎 3: "“The Rapid Increase of Direct Investment Abroad and Structural Chage in Japan"" Direct Foregin Investment in Asia's Developing Economies and Structural Change in the AsiaーPacific Region. 175-199 (1991)
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[Publications] 佐々波 楊子,浜口 登,千田 亮吉: "貿易調整のメカニズム" 文眞堂, 286 (1988)
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[Publications] 佐々波 楊子,浦田 秀次郎: "サ-ビス貿易ー理論・現状・課題ー" 東洋経済新報社, 197 (1990)