1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03630031
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々波 楊子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (30051288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦田 秀次郎 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (10185085)
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Keywords | アジアの成長 / 相互連関効果 / サービス輸出の波及 / 規制緩和 |
Research Abstract |
企業設立を伴うサービス貿易取引(直接投資)の拡大は、サービス部門の規制緩和によって更に加速するものと考えられる。ただし、前年度のまとめにおいても指摘したように、その統計的把握は多くの問題点を含む。佐々波(1)及び浦田(3)はサービス貿易統計の推計がどのように行われているかを明らかにした。そのうえで生産者サービスの移転である直接投資の成長誘発効果-浦田(4)参照-と製造業部門へのサービス供給が特にアジア地域でどのように行われているか-佐々波(2)-を明らかにした。その概要は以下の通りである。各国のサービス貿易の自由化は、金融・保険、流通、運輸、通信等さまざまな分野における規制緩和というかたちで進んでいる。特にアジア諸国においては近年の高度成長の結果、所得水準の向上によるサービス需要の急増とこの自由化が相乗効果を生み、日本のサービス関連企業にビジネスチャンスを与えた。浦田(4)によれば日系企業によるサービス輸出は、サービスが国内財という特徴をそなえているために、アジア諸国の輸出に過度に依存した経済構造を是正し、国内市場の拡大をもたらすという効果をもった。佐々波(2)は日系企業のサービス輸出を、製造業部門に対する補完的サービスの供給を目的とする、金融サービスと商業サービス、消費者向けサービスの供給を目的とするスーパー、コンビニエンスストア等の卸売、小売サービスに分けて分析した。その結果、サービス貿易の拡大はアジア地域における製造業部門間の相互依存性の深化だけでなく国内市場と海外市場との相互連関効果を高めるためにきわめて重要な働きをしているという事が明らかになった。今年度は日本のサービス輸出の波及効果を中心にとりあげた。もとより日本のサービス輸入の波及もきわめて重要であり、次年度の課題としてとりくみたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 佐々波 楊子: "日本の直接投資統計" 統計研究会報告書. 6月. (1992)
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[Publications] Yoko Sazanami: "Japanese Service Foreign Direct Investment in the Asia Pacific" Keio Economic Society Discussion Paper. 9203. (1992)
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[Publications] 浦田 秀次郎: "在米日系企業に関する米国商務省と日本通産省による調査の比較" 統計研究会報告書. 6月. (1992)
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[Publications] Shujiro Urata: "Changing Patterns of Direct Investment and the Implications for Trade and Development" Working Paper Series Institute for Research in Contemporary Political and Economic Affairs,Waseda University. 9202. (1992)
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[Publications] 浦田 秀次郎: "日本の直接投資とアジアの貿易" 直接投資と工業化(小浜裕久編). 4月. 43-62 (1992)
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[Publications] 佐々波 楊子: "サービス貿易問題とGATT" 貿易と関税. 3月号. 53-58 (1990)
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[Publications] 浦田 秀次郎(大畑弥七 共編著): "アセアンの経済・日本の役割" 有斐閣, 248 (1992)
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[Publications] 佐々波 楊子・浦田 秀次郎: "サービス貿易-理論・現状・課題-" 東洋経済新報社, 197 (1990)