1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640631
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
藤井 保 広島女子大学, 家政学部, 助教授 (10181314)
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Keywords | 円口類 / メクラウナギ類 / 原始的補体系 / 代替(第2)経路 / 補体第3成分 |
Research Abstract |
ザイモザンに結合するヌタウナギ血清タンパク質(HX)に対するウサギ抗血清を作製し、これをプロ-ブとして、ヌタウナギ血漿からイオン交換クロマトグラフィおよびゲル濾過法を併用してHXを精製した。得られたHXは、分子量約115kDと77kDの2つのサブユニットがSーS結合で架橋された、分子量約192kDの血清タンパク質であることが示された。HXは、βグロブリン領域に電気泳動的易動度を有し、血漿中の濃度は約0.8mg/mlであった。トリプシンでHXを消化すると、115kDサブユニットが特異的な限定水解を受け、さらにHXの易動度はトリプシン処理により陽極側へ転換していた。HXを変性剤存在下で加熱処理したところ、115kDサブユニットの切断が起こり、68kDと45kDの2つのポリペプチド鎖が生じた。しかし、この切断はHXのメチルアミンにより前処理により完全に阻害され、115kDサブユニットにチオ-ルエステル結合の局在が強く示唆された。また、HXのアミノ酸組成を分析し、ヒトC3などの組成値と比較したところ、HXとC3との間に高い相同性が示された。これらの結果は、HXの諸性状がC3のそれらに酷似することを示しており、HXが哺乳類C3と相同の、ヌタウナギ補体成分である可能性を強く示唆している。 さらに、本動物における原始補体系の生物活性(オプソニン活性)を解明する基礎実験を試みた。ヌタウナギ腹腔浸出細胞から粘着細胞の単離法を確立し、これを指標細胞に、ウサギ赤血球を標的物にそれぞれ用いて、ヌタウナギ正常血清中に強いオプソニン活性の存在を示すことができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤井 保: "円口類の生体防御機構" 臨床免疫. 23. 1625-1634 (1991)
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[Publications] 藤井 保: "補体系の系統発生" 細胞. 23. 543-547 (1991)
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[Publications] Jujii,T.,T.Nakamura,A.Sekizawa and S.Tomonaga: "Isolation and characterization of a protein from hagfish serum that is homologous to the third component of the mammalian complement system" Journal of Immunology. 148. 117-123 (1992)