1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640631
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Research Institution | Hiroshima Women's University |
Principal Investigator |
藤井 保 広島女子大学, 家政学部, 助教授 (10181314)
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Keywords | 円口類 / メクラウナギ類 / 原始的補体系 / 第二経路 / 補体第3成分(C3) / 限定分解 / オプソニン |
Research Abstract |
ヌタウナギC3に対する抗血清をプローブとして、ヌタウナギC3-1とC3-2を同血漿から単離した。得られたC3-1は S-S結合で架橋された2本鎖(115kDaおよび72kDa)構造を、一方、C3-2は3本鎖(77kDa、72kDaおよび30kDa)構造を示した。また、C3-2は精製過程の後期に、2本鎖(105kDaおよび 72kDa)構造から上記の3本鎖構造に変換することが示された。さらに、この2本鎖C3-2において既に、免疫電気泳動的易動度が陽極側に変換し始めていることが示された。そこで、2本鎖構造のC3-2が真にインタクトな分子であるか否かを確かめるため、105kDa鎖上のチオールエステル結合部位の存在様式と、同鎖のN末端アミノ酸配列の解析を行った。その結果、C3-2分子内に検出されるSH基の数は、メチルアミンで前処理しても増加せず、同分子内のチオールエステル結合は既に開裂していることが強く示唆された。また、105kDa鎖のN末端アミノ酸配列を、C3-1の115kDa鎖と比較したところ、105kDa鎖のN末端は77個のアミノ酸残基からなる断片(哺乳類C3a に相同)を欠失していることが示された。一方、72kDa鎖のN末端アミノ酸配列は、C3-1とC3-2で完全に一致していた。これらの結果は、C3-2がC3-1由来の、哺乳類C3bに相同の部分分解産物であることを強く示唆している。また、本種C3では、一本鎖前駆体として合成された分子が不完全なプロセッシングにより、見かけ上2本鎖様に行動していることが示された。さらに、精製C3-1およびC3-2標品中には、各々マイナーな成分として上記C3とは異なる、3本鎖構造をもつ2種類の分子の存在が示された。両分子共に、C3a相同断片を保持しており、同断片を含むサブユニットの分子量が、C3-1分画では88kDa、C3-2分画では83kDaと異なることが示された。以上の結果を総合して、ヌタウナギC3の特異的分子構造、変換過程、ならびに変異型の存在について考察を試みた。また、本種C3のオプソニン活性が示された。
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[Publications] Holland, N.D., L.Z. Holland,Y. Honma, and T. Fujii: "Engrailed expression during development of a lamprey, Lampetra japonica: a possible clue to homologies between agnathan and gnathostome muscles of mandibular arch." Development, Growth and Differentiation. 35. 153-160 (1993)
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[Publications] Fujii, T., T. Nakamura, S. Tomonaga: "Identification and characterization of a variant of the third component of complement (C3) in hagfish serum." Zoological Science. 10, (Supplement). 83 (1993)
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[Publications] Fujii, T., S. Tomonaga, R.Fujii, and A. Sekizawa: "Characterization of opsonins occurring in normal hagfish serum." Developmental and Comparative Immunology. 18, (in press). (1994)