1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640662
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 裕行 北海道大学, 理学部, 講師 (70157436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 武 北海道大学, 理学部, 助教授 (60211190)
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Keywords | 二酸化マンガン / 二酸化マンガン鉱物 / ガス吸着 / 炭酸ガス / 炭酸マンガン / 二酸化マンガン国際標準サンプル |
Research Abstract |
天然あるいは合成の二酸化マンガン鉱物を加熱した時に放出される分解や表面の吸着に由来するガス成分およびその温度との関係、天然試料と合成試料の比較、CO_2吸着特性等を検討した。試料は天然の轟石(轟鉱山産)、クリプトメレン鉱(インド産)、合成試料として国際標準サンプルのICー3、ICー12、IBAー17を用いた。測定は赤外線イメ-ジ炉中に設置した内径8mmの石英ガラス管内の白金皿中に10〜20mgの試料を置き、キャリアガスとして高純度ヘリウムガス(99.9999%)を流しながら毎日10℃の速度で昇温した。この時放出されるガス成分をキャリアガスと共に四重極質量分析計(日電アネルバ製TEー360B型)に導き測定した。その結果、100〜350℃、400〜450℃、600〜700℃の3種類の温度領域でCO_2の放出が観察された。このうち100〜350℃の放出は合成、天然産の試料に限らずすべての二酸化マンガンで観察され、固体表面に吸着していた成分と考えられる。400〜450℃の放出ピ-クはICー12にだけ観察される。この温度は炭酸マンガンの分解温度と一致することから、化学合成によるICー12中には中間生成物である炭酸マンガンが残留しており加熱により炭酸塩が分解し放出されたものと解釈される。600〜700℃のピ-クはICー3でのみ観察される。ICー3は炭素電極を用いて製造された電極二酸化マンガンであり、このCO_2は試料の中に混入していた炭素とMn_2O_3がMn_3O_4に分解するときに放出される酸素とが反応して生成したものである。この考えは二酸化マンガンが熱分解して生成したMn_2O_3がさらにMn_3O_4に分解するときの酸素の放出ピ-クの温度およびピ-クのプロファイルがCO_2の温度やピ-クプロファイルと一致していることから支持される。400℃においてMnO_2がMn_2O_3に変化するときに放出される酸素と反応しないのは、温度が低いためであろう。
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